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児童用PC ボタン1つで電子黒板に データ転送 プレゼン

東京都・中央区立城東小学校  ― オリオン座の観察を発表

 児童1人に1台タブレットPCを配備し、自由に活用できる教育環境の効果について注目が集まっている。東京都・中央区立城東小学校(小島敏光校長)では、4年生から6年生全24名にタブレットPCを配備し、電子黒板との連携を図り、その教育効果や活用方法の検証に取り組んでいる。同取り組みはインテルと内田洋行による実証実験のひとつ。1月21日、城東小学校において授業が公開された。

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▲ 児童用PCと電子黒板の連携で発表活動

 この日の公開授業は5年生の理科「星の動きを調べよう」だ。授業者は竹之内賀久子教諭。

  子どもたちは自宅で、午後7時、8時、9時のオリオン座の動きを観察しており、ワークシートに観察のようすを記録済だ。この日は、各自の観察から気づいたことを発表し合う活動で、タブレットPCと電子黒板を発表活動に活用した。

  児童はタブレットPCから、子ども用プレゼンテーションソフト「スクールプレゼンター」を起動、星座シートを選択した。星座シートは、予め今日の授業用に教員が作成したものだ。

  児童は「星座シート」に、各自が観察したオリオン座の動きをタブレットPC用のペンで記入していった。

  画面右上の「発表」ボタンを押すと、教室前方の電子黒板に児童の画面が転送される。児童は電子黒板に提示された自分の観察カードを見ながら、「オリオン座は7時に東の空に、60度の位置に見えました。8時には70度の位置に変わり、傾きました」と発表していく。

  9人全員が発表した後、竹之内教諭は、オリオン座の「角度」、「傾き」、「高さ」、その他気付いたことについて板書で整理していった。「オリオン座の動きは月や太陽と同じように動く」、「時間経過とともに様々な変化がありながら、星座の形は変わらない」ことなどの気づきを全員で共有した後、電子黒板に動画を提示し、オリオン座の時間経過による動きを全員で確認した。

  「では、夜10時にはオリオン座はどこに見えるだろう?これまでの学習から予想してみよう」
  児童は10時のオリオン座の位置の予想をタブレットPCに記入し、電子黒板で予想を発表し合った。
  「今日の宿題は、午後10時のオリオン座の観察です。夜遅い時間だからおうちの方と相談してね」

◇   ◇

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▲ 宿題のワークシートをタブレットPCでまとめる

  中央区では各校に月2、3回程度ICT支援員を派遣している。そのほか、各校の要望に応じる形で派遣される。当日は授業のサポートにICT支援員が機器的なサポートをした。

  児童らが活用しているタブレットPCは、インテルが教育用途に開発した「インテル(R)クラスメイトPC」だ。小型のノートブックPCで、耐水性や耐久性に優れており、ワイヤレスLANでインターネットに常時接続できる。ペン操作に対応する感応式タッチパネル、キャリーハンドル、Webカメラなど、児童が学習に使用するシーンを想定した機能を持つ。同校では教室に設置してある電子黒板とも連動しており、ワンクリックで電子黒板と連動できる点が発表活動に使いやすい。

  電子黒板は、デジタルテレビに内田洋行の電子黒板キットを組み合わせ、書き込みなどもできるようにしたもの。

  これまで同校では、タブレットPCを国語や算数などのドリル学習で毎日のように活用してきた。発表活動での活用は、PCの機能を活用しながら互いの考え方を確かめ合い、結論を導いていくなどの21世紀型スキル育成を視野に入れた活動だ。今後もICTを、児童が自ら考え協働学習をするなどの活用に取り組んでいく考えだ。

 

【2011年2月5日号】


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