教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
TOP教育マルチメディア>記事
バックナンバー
最新IT教育―実践、成果を報告―

教育マルチメディア

― 21世紀の学校環境 成果と事例から学ぶ ―
全小中に電子黒板を整備

埼玉県深谷市

 埼玉県深谷市教育委員会では昨年秋、平成21年度補正予算によるICT環境整備事業により、国の整備指針に則り、全小中学校29校(小学校19校、中学校10校)の学校環境整備を完了した。それに伴い1月20日、深谷市立常盤小学校において深谷市全校の情報教育担当者と会場校の教員を対象とした電子黒板活用校内研修実施説明会を開催した。研修参加者は年度内に各校において校内研修を実施する予定。

写真
▲インターネット回線と電子黒板を活用する

 深谷市の整備内容は、全小学校全教室にデジタルテレビと書画カメラ、全中学校には、プロジェクターと70インチスクリーンの設置。全小中学校に電子黒板を各校に1台、教師用PCを全教員配備というもの。段階的に整備を実施、昨年12月に完了した。

  今回各校に導入された電子黒板は、プラズマテレビに日立ソリューションズの後付け電子黒板とWebカメラを付属したもの。
教師用タブレットPCは、新製品のCM‐1(東芝情報機器)。書画カメラは、理科で顕微鏡に接続できる拡大機能に優れた「アバ‐ビジョンAV‐355AF」(アバーメディア)だ。

  当日の研修では、電子黒板活用に関する説明を日立ソリューションズが担当。セッティング方法やスターボード独自の電子ペン「インテリペン」の機能、サポート体制について説明があった。線やマルをフリーハンドで書くことで図形に変換できる機能や、バツを書くことで書き込みが消える機能、指による拡大の方法について参加教員も実際に試すなどした。

迫力に感動の声も

  深谷小学校の淺野教諭は、電子黒板の活用方法を紹介した。淺野教諭は、電子黒板の活用として「プレゼン」、「拡大ボタンの活用」、「教材コンテンツの活用」の3つを挙げる。淺野教諭が地層の写真を電子黒板上で拡大すると、その鮮明さと迫力に教員からは感動の声が上がった。

  5年生の理科の授業ではリアルタイムの天気図を使った授業を展開。「ヤフー」の天気図ではデータを過去にさかのぼってダウンロードできる。それを保存・提示することで、天気図の変化や、毎日の雲の動きを比較することができる。また、天気図から次の日の天気を予想させ、答え合わせなどもできる。

  算数の授業では、予めエクセルのマス目を正方形に設定したものを使ってグラフの授業に活用している。

電子黒板の設置場所 トップは「理科室」

  深谷市教育委員会では各校で電子黒板をどこに設置したいかについてのアンケートも実施した。深谷市では小学校全教室にデジタルテレビと書画カメラを設置し、提示機器としての授業活用が進んでいる。電子黒板については、各校ニーズによって最も活用頻度の高いと考えられる場所に設置するよう指導しており、アンケートによると理科室での設置が最も多いことがわかった。このほか、外国語活動を想定し、多目的室などに設置する学校も多い。コンピュータ室に設置した学校も研修終了後、「設置場所を改めて検討する」と話す。

授業活用に意欲

  研修に参加した教員からは、「授業イメージがわいた。楽しい授業を展開できる予感がする」、「導入された日はイメージしていたものと違って驚いたが、今日はその便利さに驚いた。予想以上にインパクトあることができそう」という感想がきかれた。
同市では11月に事業仕分があり、ICT環境整備も検討事項のひとつとなったことから、これら整備の効果検証として研修を実施。10月にITC活用調査を実施し、本年1月から毎月全校を対象にICT環境活用に関するアンケートによって整備後・研修後の活用状況を調査し進捗状況を把握する考えだ。

 

【2011年2月5日号】


記事のご感想をお寄せください

新聞購読お申し込みはこちら