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ICT環境整備・認識進む

電子黒板整備 急激な伸び率

 文部科学省では、学校におけるICT環境の整備状況や教員のICT活用能力について全国の公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)を毎年調査している。7月、平成23年3月1日現在の調査結果が速報値として公表された。それによると、教員の教務用PC配備は99%となった。なお東日本大震災の影響により今回調査で回答不可能となった学校は、岩手県44校、宮城県121校、福島県208校。

学校ICT環境整備

学校ICT環境・教員のICT活用能力を調査

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  スクール・ニューディール政策による整備の中、伸びが著しいのは電子黒板で、整備状況は6万474台となった。スクール・ニューディール政策以前の整備数は1万6403台であったことから、政策効果が数字に表れていることが分かるものの、電子黒板のある学校の平均値は69・3%となっており、今後の伸びが期待される。整備率80%を超えているのは、和歌山県、大阪府、愛媛県、鳥取県、秋田県。整備率が最も低いのは、長崎県の45・6%。

  教育用PC1台あたりの児童生徒数は6・6人と緩やかな伸び。教員の校務用PC整備率は99・2%と順調。普通教室の校内LAN整備率は82・3%と、昨年度同時期と比較すると10ポイントの伸び。

  教育用PCの整備が進んでいるのは、鹿児島県、長野県、山梨県、鳥取県、徳島県で、いずれもPC1台につき児童生徒5人未満の整備数だ。

  校務支援システムの整備率の平均値は52・3%にまでなった。ほぼ半数の学校が何らかのシステムを導入している。校務支援システムで最も整備率が高いのは、静岡県の79・4%だが、校務用PC整備率を100%以上達成しているのは、27都道府県にのぼる。なお校務支援システムの整備率が最も低い県は大分県の24・2%であるが、現在同県では校務支援システムの整備を計画中である。

教員ICT活用能力

  教員のICT活用指導力は、著しいとはいえないものの全体に伸びが見られる。他項目と比べ比較的伸びたのは、授業中にICTを活用して指導する能力のうち「わかりやすく説明したり、児童の思考や理解を深めたりするために資料を効果的に提示する」ICT能力であった。なお5項目においてトップが三重県であるのは、前年度同様。

  教員研修を受講した教員が最も多いのは愛媛県の45・1%、次いで鹿児島(44%)、東京都(43%)と続く。

ICT支援員やデジタル教材必要

学校・社会教育施設対象に抽出調査

 潟潟xルタス・コンサルティングは、文部科学省委託により「学校及び社会教育施設における情報通信機器・視聴覚教育設備等の状況調査」を行い、報告書をまとめた。それによると、学校におけるICT機器の活用頻度に向上が見られ、それに伴い、ICT支援員やデジタル教材、校務支援システムの必要性についての認識が高まっていることがわかった。また、必要性の認識度は、活用経験がある学校ほど高いことも明らかになった。

 調査期間は平成23年2月15日〜3月11日。調査対象時点は平成23年1月1日。調査対象は、公立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校)及び社会教育施設等。

  学校調査結果についてまとめる。

  調査内容は、(1)情報通信機器・視聴覚教育設備等の保有状況 (2)教育用放送の活用状況 (3)デジタル教材 (4)教員へのサポート。

  学校では、全校種において93・6%が、教科書の内容に即した「デジタル教材・コンテンツ充実の必要性」を感じており、89・4%の学校が「無料または安価な教育用ソフトウェア拡大の必要性」を感じていることがわかった。 

  「デジタル教材の全国レベルでの共有化」について、幼稚園においては、肯定的な意見が53・4%に留まっているが、その他の校種ではいずれも肯定的な見解が8割以上となった。」

  ICT支援員等外部支援人材については、30%以上の小学校及び中学校で活用されている。小学校では約89%がICT支援員の必要性を感じており、次いで、中学校(約80%)、高等学校(約68%)、幼稚園(52・1%)の順。

  一方、活用実績がある学校・園を対象にした調査では、幼稚園が最も必要性を高く認識しており、100%、次いで小学校98%となった。

  この結果から、支援員等の活用経験がない学校・園はその有用性をイメージしにくいことがわかる。

■ICT機器の活用頻度が向上

  情報機器について週に数回以上使用している数を学校種ごとでまとめると、小学校では地デジテレビ、中学校では大型ディスプレイ、高校ではプロジェクターの稼働率が高く、ICT機器の活用が上がってきているのが分かる。

  週に数回以上活用している情報機器は、小学校はプロジェクター約31%。教材提示機器約35%、地デジテレビ50%、電子黒板は41%、大型ディスプレイは約36%。

  同様に、中学校では、プロジェクター41%。教材提示機器29%、地デジテレビ37%、電子黒板34%、大型ディスプレイ67%。

  高校では、プロジェクター61%、教材提示機器33%、地デジテレビ26%、電子黒板24%、大型ディスプレイ34%。

  前回調査と比較して保有数の増加が最も顕著であったのは、全校種とも地デジテレビ。このほか、園・小学校ではDVDプレーヤー。中学校ではデジカメ。高校ではプロジェクター。なお「電子黒板」については前回調査対象となっておらず比較できない。

■校務支援システム 必要性が高まる

  校務支援システムについては、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と進むにつれて導入率が高まっている。校務支援システム導入の必要性を最も感じているのは小学校で約82%。

  なお、校務支援システム未導入の小学校、中学校、高等学校の順にその必要性をより強く感じており、校務支援システムの役割や活用方法について拡がってきていることがわかる。最も校務支援システム導入率の高い高等学校でも35・2%であることから、今後導入が進むことが予想される。

  なお学校の調査は抽出(幼稚園、小学校、中学校は10%、公立高等学校は20%)で、抽出数は4371校。うち回収率は約62%。

【2011年8月1日号】


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