教育委員会対象セミナー・福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、1月29日福岡で、2月16日に名古屋で開催された。次回は3月31日に岡山で開催される。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

アクティブ・ラーニングでドラマが生まれる 佐賀市立若楠小学校・内田明教諭

佐賀市立若楠小学校・内田明教諭
佐賀市立若楠小学校
内田明教諭

記録・振返り・話し合い
相互評価で共有する

平成22年度の総務省「絆プロジェクト」実証校である佐賀市立若楠小学校では、児童が話し合いながら自ら課題を解決していく協働的な学びやティームティーチング、個別指導などで個々に応じた指導を行っている。同校では電子黒板に加えて3年生以上にタブレットPCを269台導入、タブレット用の授業支援ツールも活用している。

「ICTを活用するアクティブ・ラーニング、活用しないアクティブ・ラーニングがあり、両者は必ずしもセットではない」と述べる内田教諭は、アクティブ・ラーニングにICTが寄与した事例について報告した。

例えば算数では、電子黒板に計りの目盛りを拡大提示して課題を説明することで、グループでの学び合いの活性化を図った。体育では、マット運動時などに互いのフォームをタブレットPCで撮影し合って確認し、姿勢やフォーム、動きの改善点について気づいたことを話し合っている。

音楽では合唱練習で、タブレットPCを利用して各パートを録音することにより、能動的なパート練習を展開することができた。自分たちの歌声を録音して聴き、改善点を話し合うこともでき、音楽でのICT活用は非常に有効性を感じたと語る。

家庭との連携としては、家庭科の実習で調理したサラダを写真共有サイト「Picasa」にアップロード。家族や友人などから調理作品についてコメントをもらうことで、発展的かつ能動的な学習に結びついた。内田教諭は、「タブレットPCなどのICT活用は、記録して振り返り、それについて児童が主体的に話し合い、相互評価で気づきを共有してブラッシュアップ、課題を解決していくというアクティブ・ラーニングの流れのきっかけづくりに有効。この流れを全教科で取り組んでいる」と報告した。

一昨年度から、「デジタルノート@クリエーターズ」も活用をスタート。これは手書きの"ノート"と写真や動画などの"デジタル"を融合できるデジタルノートで、まとめや発表の際に「動くノート」として取り入れている。

「アクティブ・ラーニングによって様々なドラマがクラスに起こっている」と内田氏は語り、ある授業シーンを紹介した。

発達障害で授業の理解が難しく、常に指導員の助けを受けて授業に参加していた児童が、アクティブ・ラーニングによって、自主的に他の児童がその児童に考え方やヒントを教えるというシーンが見られた。さらに、これまでグループの輪に入ることが難しかったその児童が、自ら他の児童に分からない箇所を聞く様子も見られたという。内田教諭は「感動して涙を流しそうになりながら写真を撮った」と語る。

「児童1人ひとりにとって、より効果的な学習方法を考えることが第一。方法にこだわってはいないが、ICTはアクティブ・ラーニングを進める上で有効な道具の1つでり、その有効性を活かす活用を追求していく」と話した。【講師】佐賀市立若楠小学校・内田明教諭

 

【第28回教育委員会対象セミナー・福岡:2016年1月29日】

【2016年3月7日】

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