第3回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

7月28日、教育家庭新聞社主催で第3回私立公立高等学校IT活用セミナー(東京開催)が開催され、多数の教育関係者が参集し、ICTを活用した教育事例を共有。積極的な情報交換が行われた。

21世紀型スキルと問題解決力を育む 神奈川県立生田高等学校・天野尚治総括教諭

グループ活用から1人1台活用

全教室にスクリーン タブレットPCも確保

神奈川県立生田高等学校・天野尚治総括教諭
神奈川県立生田高等学校・天野尚治総括教諭

同校は生徒を中心としたICT利活用授業を実践することを目的に、グループ学習や1人1台でiPadを用いた授業も展開できるように、教員研修の充実に取り組んだ。GoogleApps(現名称G Suite)による授業支援並びに校務支援システムとしての活用も進めた。

スーパースクール校事業では企業の協力により、タブレット型PC40台を導入し、無線LAN環境を構築した。

昨年度からはパナソニック教育財団の特別研究指定校として助成も受け、iPad40台など不足しているICT機材などを補充した。

天野総括教諭は「モデル校として指定された当初は、プロジェクターと実物投影機各9台という整備内容であった」と語る。現在は全教室にマグネット式スクリーンを設置。

プロジェクターは全校に30台程度で、校舎のフロアごとにカートで移動。電源を入れればすぐに映せるようになっている。また、遮光カーテンやグループ学習用にミニホワイトボードも整備した。

教員がファシリテートグループ活動で成果

PC室とは別に、1人1台環境でiPadなどの無線デバイスを活用できるアクティブラーニングスタジオも設置している。実践を進めるにつれ、かなり多くのことがグループ活動でできることが分かった。

特に理科や数学などの協働学習で大きな成果をあげている。

協働学習用ツールとしてはGoogleが提供するクラウド「G Suite」を活用している。

ここで授業支援ツール「ロイロノート」も導入した。

クラウド上でデータを共有したり複数人数で1ファイル上に書き込んだりすることができるので、発表活動や意見交換、協働作業などに取り組みやすくなった。教員が説明して取り組むのではなくファシリテートしながら実験や観察、問題に生徒自らが取り組むことで、定着や理解度が大いに向上した。

サーバレスで授業活用

数学の教員が教室で授業を録画した動画をクラウドで共有することで反転授業を行っている。物理の「落下運動」では、タブレットですぐに実験結果を収集、その場でデータを解析している。また、グループの話し合いは、iPadなどのタブレット端末のほかミニホワイトボードなど、授業内容によって使い分けている。当初、iPadやプロジェクターは一部の授業での活用であったが、サーバレスの授業支援システムの活用で、より一層活用が広がった。理数系教員からは、グラフを扱う際には解像度の高いモニターを使いたいという意見が出るようになり、50インチ以上のモニターの設置が現在の課題であるとする。

教員研修にも活用

教員研修や打ち合わせ、学校評価や授業評価など各種アンケートもiPadや「GSuite」を活用。様々なツールを適宜活用することで、教員のスキルアップにもつながっている。天野総括教諭は「3年経ってようやくここまでたどり着いた。いよいよ、本来の授業改善に本格的に取り組める。現状はグループ活用が中心であるが、CBT対応もあり、今後は1人1台になるのかなという予感もあり、BYODの検討に本気で取り組める段階にある」と語る。今後について「学校の壁を越えた学習が今後の課題。プロジェクト学習を本格的に進めていきたい」と語った。

【講師】神奈川県立生田高等学校・天野尚治総括教諭

 

【第3回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2017年7月28日】

【2017年9月4日】

1、神奈川県立生田高等学校・天野尚治総括教諭
2、佐野日本大学中等教育学校・高等学校・ICT教育推進室長・安藤昇教諭 
3、佼成学園中学校・高等学校・南井秀太部長
4、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校・綿貫巌教諭
5、東北学院中学校・高等学校・新田晴之教諭

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