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連載 小学校外国語活動元年に向けて

小学校外国語活動元年に向けて (3)
良質な英語で進める外国語活動

暁星小学校 英語科主任 岡澤永一氏

岡澤永一氏
暁星小学校 英語科主任 岡澤永一氏

 外国語活動(以下、英語活動)は、児童が英語にふれられる週一回の貴重な学びの場です。この限られた時間でコミュニケーション能力の素地や英語活用能力育成を図るには、児童が効率的に理解、吸収できるよう整理された、良質な英語が不可欠です。良質な英語というと、ネイティブスピーカーのそれを想像するかもしれませんが、発音の良さや語彙の豊富さは、英語活動において重要な要素ではないのです。では、良質な英語とは具体的にどのようなものでしょうか。以下に、5つのポイントを挙げます。

(1) 省略のない文であること
 長すぎると理解できないから、意味に影響がないから、という理由で文の一部を省略することはやめましょう。一見必要でなさそうな部分にも、大切な意味や文法などの言語要素が存在します。たとえば、“How many?”と尋ねてばかりでは、その後に名詞の複数形が続くことを知らないままになります。

(2) 自然な音の流れであること
 単語ごとに区切った発話、叫ぶような発話は、自然な語りかけとはいえません。日本語の会話と同じく、無理のない音の流れと声の大きさで児童とのやりとりを行います。

(3) 文法的な間違いがないこと
 意思疎通・情報伝達を正しく行うことがやりとりの基本です。文法的な間違いのある英語は誤解を招く恐れがあります。時制や単数と複数などの細かな違いまで注意を払いましょう。

(4) 使用する英語を限定すること
 同じ表現の繰り返しは、児童の文意文型理解を促進するとともに、教師の負担を軽減させます。活動内では、教師の意図した状況下で使用する英語を限定し、自然なやりとりの中で繰り返し用いましょう。

(5) 的確な非言語情報、アイテムであること
 学習者である児童は、あらゆる情報を頼りに英語を理解しようと試みます。そのため、教師の英語と正確に対応する非言語情報(ジェスチャーや声の抑揚など)、アイテムを与えなければなりません。ふたつのリンゴの絵を見せながらの“This is an apple.”は、児童の混乱を招きます。

  英語活動における担任の英語は、他の授業で使用する日本語以上に、児童にとってことばの見本となるのです。あなたからの英語を疑うことなく取り入れる彼らのために、上記のポイントを常に意識し、良質な英語提供を心がけてください。

(次回は1月1日号掲載)

【プロフィール】
岡澤永一氏: 暁星小学校英語科主任。外国語教育メディア学会関東支部早期外国語教育研究部会主任。第三回マルチメディア学習教材活用国際コンテストにて国内最優秀賞受賞。著書に『小学校英語 with 電子黒板』(ドリマジック社)がある。

(1)外国語活動、担任主導こそが理想
(2)外国語活動の成否握る英語の質
(3)良質な英語で進める外国語活動
(4)児童と担任とのやりとりを柱にした外国語活動
(5)積極的な日本語使用で進める外国語活動
(6)担任中心の外国語活動の実施

【2010年12月4日号】


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