新連載

教育におけるデジタルの可能性(1)―文教大学 教育学部 教授 今田晃一

「NHKデジタルアーカイブス」の活用

文教大学 教育学部 准教授 今田晃一  NHKが保存している過去の番組・ニュースのアーカイブスの中から約10,000本の映像を提供する各サイトが「NHKデジタルアーカイブス」としてまとまり、利用しやすくなった。今までから学校教育でも頻繁に活用されていた情報教育のための「クリエイティブ・ライブラリー」、環境教育のための「エコチャンネル」、平和教育のための「戦争証言アーカイブス」、防災教育のための「東日本大震災アーカイブス」、地域教育のための「映像マップ みちしる」、テレビ放送60年の歩みを紹介した「NHK TV60特選コレクション」の6つのサイトが整備され、NHKアーカイブスポータルサイトから入りやすくなった。ここでは、学校教育や社会教育での実践例とメディア教育の研究者による授業づくりのアドバイス(教育活用ガイド)をダウンロード出来るなど、学校教育への配慮がありがたい。

 

 

映像重視、感性重視のデジタルネイティブ世代に配慮

教育におけるデジタルの可能性

【写真1】「NHKクリエイティブ・ライブラ
リー」を活用した日比野校長の講話

教育におけるデジタルの可能性

【写真2】「NHK戦争証言アーカイブス」を
用いた押淵毅教諭の人権・反戦教育

  日比野功校長(東大阪市立縄手南中学校)は、朝礼での管理職講話の中で「NHKクリエイティブ・ライブラリー」の映像を適宜活用し、生徒たちの反応を楽しみにしている(写真1)。生まれた時からインターネットや携帯電話など、デジタルメディアに囲まれて育った児童生徒(デジタル・ネイティブ世代)は、言葉より映像重視、感性重視がその特性のひとつともいわれている。日比野校長は、「NHKの映像にはとにかく力があります。また映像を見ながら話ができるので、その日朝礼で伝えたいことを言葉以上のイメージの力で訴えることができます。子どもたちは、感性・情動が揺さぶられないと行動の変容にはつながりません。デジタルは、映像の目利き世代である生徒たちにとって有効な指導方略の一つだと実感しています」と語る。
立命館守山中学校(亀井且有校長)では、人権・反戦教育の一環として、学校独自の教科『立命科』を設けている。その中で押淵毅教諭は、「NHK戦争証言アーカイブス」を積極的に活用している(写真2)。「戦争の本当の怖さや悲惨さを知るには、当事者の体験談が大切だと考えます。関心をもった証言をグループごとにiPadで繰り返し視聴(Flash 再生が可能なアプリPuffin Web Browserを活用)することで、自然に生徒同士が相互に啓発され認識が深まります」と押淵先生は、NHKの映像は学習の質的向上につながると評価している。

  「感性的認識」と「理性的認識」とを交互に繰り返すことによる視覚的方法の有効性が、デジタルの特性である。現代のデジタルの世界は、数学者チューリングの「チューリングマシン(1936年)」の構想から始まった。本連載では、すべてのデータを「1」と「0」に置き換えるデジタルの世界から、社会構成主義的な学びの可能性を検討していきたい。
(次回は8月5日号掲載)

【2013年6月3日号】

◆教育におけるデジタルの可能性―文教大学 教育学部 教授 今田晃一

  1. 「NHKデジタルアーカイブス」の活用(130603)
  2. デジタルミュージアム構想と博物館の学び(130805)
  3. ワークショップにおけるiPadの有用性 (131007)
  4. 「朝日デジタル for school」で動画と記事の関連を学ぶ(140101)
  5. 教育におけるデジタルの可能性(140303)

関連記事

iPadの教育活用―文教大学教育学部准教授 今田晃一(120702〜130304)

 

↑pagetop