自立・協力で能動的に 「アクティブラーニング」で変わる授業

「7つの習慣」ジュニア版を活用

 受け身の授業から能動的な授業へ。次期学習指導要領改訂のキーワードの一つ「アクティブラーニング」は、児童生徒の能動的な学びを重視するもの。アクティブラーニングの導入で学校はどう変わるのか、その方向性を示す教員向けセミナーが3月26日都内で開催された。10日間で100名を超える申込みが寄せられ、注目度の高さがうかがえる(共催=(株)FCEエデュケーション、フランクリン・コヴィー・ジャパン(株))。

深い学びや意識変化を起こす授業の仕掛け

基調講演(竹村氏)
筑波大客員教授の竹村氏

 基調講演を行った産業能率大学経営学部教授の小林昭文氏は「話し合いや意見発表などアクティブラーニングにあたるものは、これまでも行われてきた。まずはアクティブラーニングにあたる時間を増やし、教員の話を聞くだけの時間を減らすことで授業は大きく変わる。児童生徒同士の話し合いの中から、深い学びや大きな意識の変化が起こる仕掛けを授業に取り入れていく必要がある」と話す。

 かつて県立高校で物理を教えていた小林氏は、生徒の興味を湧き立てるため、授業内容を大きく変えた。それまで板書で教えていた内容を授業開始時にプリントで配布。演習問題と解答を同時に与え、授業の最後に行う確認テストで全員が100点を取ることを目標に取り組ませた。分からなければ他の生徒に質問したり、解答を見ても構わない。生徒同士が協力しながら理解を深めるのだ。

成功のカギは授業改善と組織づくり

 教員の役割は、話し合いが行き詰らないよう促すことであり、声をかけ議論を活性化する。アクティブラーニング型の授業成功の鍵は、授業改善と組織づくりの両輪で進める必要がある。小林氏は同僚と「授業研究委員会」を設置。成果は大きく、「授業の進め方、グループの作り方、声のかけ方など自分との違いから新たな課題に気付くことができた」と話す。

「7つの習慣」活用で素養を育む

 アクティブラーニングの効果を高めるものとして、筑波大学客員教授でフランクリン・コヴィー・ジャパン(株)取締役副社長の竹村富士徳氏は、スティーブン・R・コヴィーが提唱する「7つの習慣」を取り上げた。
「アクティブラーニング型の授業は、児童生徒が進んで授業に参加することで学習を深めることができるが、それに慣れていない児童生徒にいきなり話し合いを勧めても、恥ずかしがって意見を出さないことも多い。『7つの習慣』で提唱する内容を授業で教え意識を変革することで、アクティブラーニングを行う素養が育まれる」と述べた。

 「7つの習慣」は、人任せで依存している状態から自立するための3つの習慣▼主体性を発揮する▼目的を持って始める▼重要事項を優先する、自立した状態から互いに協力して高め合う3つの習慣▼Win‐Winを考える▼理解してから理解される▼相乗効果を発揮する、その全ての習慣を高める第7の習慣「刃を研ぐ」から構成される。ここから主体性や協調性、リーダーシップを生み出すことにつなげる。

 主催者のFCEエデュケーションは、従来の授業とアクティブラーニング型の授業の橋渡しとなる授業コンテンツとしてジュニア版「7つの習慣J」を作成。約400コマ分の授業内容から、各校オリジナルシラバスが作成できる。現在約80校の中学、高校で活用されている。

 竹村氏は「自分自身をしっかりと持ち、他者と協調し、それを継続する力を養うのがアクティブラーニングであり、それを行うための力を『7つの習慣』で醸成する」と述べた。

 

【2015年4月20日号】

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