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人との出会いを生かして<ノーベル賞・大村智氏>

ノーベル賞・大村智氏が母校で講演

ノーベル賞・大村智教授
ホームカミングデーに登場した大村智氏

今年4月、日本人女性初の宇宙飛行士である向井千秋氏が副学長に就任し、来年度からはビジネスエコノミクス学科を新設するなど、新たな改革に務める東京理科大学。10月25日のホームカミングデーには、先日ノーベル生理学・医学賞の授与が決定した卒業生の大村智氏(北里大学特別栄誉教授)を招き、講演が行われた。

東京理科大大学院を修了
 教員と院生を両立した日々

大村氏は、山梨大学を卒業後、都立高校で教鞭を執りながら東京理科大学大学院修士課程を修了。当日は「科学と私、理科大と私を語る」をテーマに、元同学知財専門職大学院教授の馬場錬成氏がナビゲートを務め、働きながら学んだ当時の様子が語られた。

開口一番「産学連携の賜物。良いものを作るには産学連携がなければならない」と話す。大村氏は、抗寄生虫薬「イベルメクチン」のもとになる物質である「エバーメクチン」を発見し、それがノーベル賞受賞につながった。

都立の高校の夜間部で理科を教えていた大村氏。体育の教員免許も持っていたが、山梨県内では理科の教員を募集していなかったことから、東京都の教員採用試験を受けた。

教員を続けながら東京理科大学の修士課程に在籍。実験が好きで夢中になっていたというが、金曜日に教員の仕事を終え、土日はずっと研究室で実験を続けるという過酷なスケジュールだったと振り返る。

その後、山梨大学の助手や北里研究所での勤務、アメリカの大学への留学などの経歴を積む。特にアメリカでは人脈を作り上げたことにふれた。「人との付き合いを大事にする人としない人では、社会で差がつく。袖触れ合う縁を生かす人が成功する人だと思う」と若い人にメッセージを贈った。

「イベルメクチン」は、アフリカなど寄生虫病に苦しむ地域に世界保健機構から無償で提供され、2012年までに延べ10億人に配られている。

進行役の馬場氏は、大村氏の功績の一つとして、開院を提案した北里大学メディカルセンター(埼玉県北本市)について紹介。日本で初めてヒーリングアートを取り入れた病院だという。

「21世紀は科学が進歩した時代だが、22世紀は心を大事にする時代になるから」と大村氏はその意図を語った。

 

高校生からエッセイ募集

大谷大学主催のコンテスト

"社会を主体的に生きることのできる人物を育成する"ことを目標に掲げ、現代社会に不可欠な文章作成能力養成に力を注ぐ大谷大学(本部=京都市)は、高校生を対象にした「大谷大学 文藝コンテスト2015」の作品募集を開始した。

自由な発想のエッセイや小説を募集するもので、今回で3回目。エッセイ部門は2000字以内、小説部門は8000字以内を規定とし、テーマは自由。授業や部活動の課題で作った作品の応募も可能だ。

同大学では今年4月より「文藝塾セミナー」を開始しており、審査員はその講師陣や同大学教員陣が行い、文芸サークル「大谷文芸」の学生が第1次審査に加わる。締切は平成28年1月15日(当日消印有効)。

応募方法=Webからダウンロードした応募要項用紙にワードデータを使用し、(1)応募者指名、(2)高校名、(3)学年、(4)性別、(5)郵便番号、(6)住所、(7)電話番号、(8)メールアドレス、(9)作品の題名、(10)作品を記載の上、メール、FAX、郵送のいずれかで送付。

詳細=koukou-essay.jpn.org/essay/

 

「食料学部」の開設へ<立命館大>
2018年の新設を目指す

食をマネジメントする人材を育成

現在13学部からなる立命館大学(本部=京都市)は、滋賀県草津市のびわこ・くさつキャンパス(BKC)に「食科学部(仮称)」を設置する構想に入ったことを発表した。開設は平成30年度(2018年)を目指している。定員は300名前後。

世界の市場規模が拡大し続ける「食」の世界。人間や社会の最も根源的な活動である「食」を人文科学・社会科学・自然科学の領域から総合的・包括的に捉え、その問題を俯瞰的にかつ深く理解し、実践的な課題解決能力やマネジメント能力を有する人材を育成することが学部設置の目的だ。

「フードカルチャー科目群」「フードビジネス科目群」「フードエコロジー科目群」を総合的・包括的に学ぶことで、食分野において市場の分析から経営企画・構築・運営ができるマネジメントのプロフェッショナルを社会に輩出していく考えだという。

「文理総合型キャンパス」を掲げるBKCでは、2012年に食料研究拠点を設立、2014年には「国際食文化研究センター」を設置するなど、研究基盤の整備も進めてきた。今年10月には、ル・コルドン・ブルー、国立民族学博物館と共催して国際シンポジウムを、行ったばかりだ。他にも自治体や業界団体との連携・提携を進めることで、学びの視野を広げる準備を整えている。

【2015年11月16日号】

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