小中学校デジタル教材の整備と利用―国立教育政策研究所調査

 国立教育政策研究所は、平成23年度に実施した『小中学校デジタル教材の整備と利用状況に関する調査』の調査結果を公表した。それによると、教育におけるICT活用についての意識が高まっていることが明らかになった。多くの教員がデジタル教材やデジタル教科書を積極的に利用したいと考えており、特別支援学級では、通常の学級と比較してデジタル教材を利用する割合が高くなっていることがわかった。調査結果のポイントをまとめる。

ICT活用は授業改善促す

■デジタル教材

  教材研究に要する時間は1日平均30〜60分程度、デジタル教材については平均30分程度。教材研究には教科書、教科書の指導書、教科書出版社のWebサイトなど教科書関連の情報が多く利用されている。デジタル教材の研究に30分程度の時間を充てているのは、小学校約60%、中学校約45%で、小学校が高い。中学校では教材研究(デジタル)に充てる時間を教科との関係で見ると、30分と回答しているのは“理科”、“音楽”、“美術”、“特別支援”の順に高い。

 小学校で教材研究でインターネットを利用することが多い教科は、男性教員で“社会”、“理科”、“国語”であるのに対し、女性教員では“国語”、“社会”、“算数”、“総合的な学習の時間”など。

  多くの教員がデジタル教材の利点を理解していて、利用したいという意欲も高い。

■デジタル機器

  デジタルテレビや電子黒板を授業で使うと、“関心意欲を高める”、“分かりやすくなる”と感じており、利用率は高くなっている。

  デジタルテレビや電子黒板の授業での利用は、導入〉展開〉まとめの順。PCは展開で多く利用されている。 

■デジタル教科書

  調査を行った時点(平成23年2月)では、提示用デジタル教科書の利用率は低く、提示用デジタル教科書に関する情報が不足している状況。一方で、デジタル教科書の導入を“時期尚早”という回答は少なく、多くの先生がデジタル教科書を積極的に使ってみたいと思っている。デジタル教科書の存在を認識している教員は、経験年数10〜24年に多い。

 「使いこなせるかどうか不安を感じる」については男女差が見られ、“強くそう思う”と回答した女性教員は男性教員の倍以上。導入についての学校種による比較では、「積極的に利用したい」と回答した割合が、小学校は中学校を10%以上も上回った。

■特別支援学級

  特別支援学級では、通常の学級と比較してデジタル教材を利用する割合が高い。

 

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