連載:管理職と学校経営 校内で上手く関わる術(すべ)

校内の課題と向き合う(上)―大阪青凌中学校・高等学校入試広報部 前田勉

「判断に迷えば子どもにかえる」

 前田 勉 校長日常的に大なり小なり様々な課題が生起する教育現場において、産業界で望まれるような「ゼロトレランス(不良品を許容しないという理念)」は期待すべきではない。学校は人間形成の最前線なので、それらを適切に解決することは本人の成長につながるからだ。

  また、その態様は千差万別なので、課題解決の模範解答はあまり役立たない。しかし、学校教育目標に則した進むべき方向性、目指すべき到達点、従うべき指針は必要である。学校はよく船に例えられるが、針路を定める時や方向感覚を調整する時の基準値と解される、地軸上の真北を示す「true north」は、船長のみならず組織の長としてミッションに対するベクトルを高める重要な基準だ。

  日々の教育活動の中では、学力向上や不登校問題のような中・長期的な課題群もあれば、生徒指導に代表される突発的な課題群もある。小・中学校の管理職を経て思うのは、これら様々な課題を精査してみると、往々にして起こるべくして起きたのではと反省することしかりである。

小さな問題を放置しないで

  そこには航空業界等でよく使われる「ハインリッヒの法則」の如く、1つの大事故の影に29の小事故があり、さらにその影に300のヒヤリ・ハットする異常があるのとよく似た構造が見られ、小さな問題点を放置したツケが露出したケースが多いと感じている。

  基本的なスタンスは、初期対応を適切に行い、正確な実態把握と現状分析を行い、問題点を明確にすること。慣例や経験則ではなく、多角的な論点を踏まえた共通理解と組織対応を優先しながら、具体的な解決方策を設定し、即日に対処することが重要と考える。

  「報告・連絡・相談」の徹底は基礎の基礎。ジャーナリストに必要な資質と言われる「センス・オブ・プロポーション」も見習ってほしい。とりわけ重要案件や外部に波及する可能性のある案件等については、校長の判断や指導・助言が適切に活かされねばならない。

  昨今、いじめ・体罰・情報漏えい等、マスコミを賑わす事件はどの学校で起こっても不思議ではない。マスコミ対応の要諦は「逃げず・隠さず・ごまかさず」を貫く。各種マニュアルは整備してあると思うが、想定外は通用しない。校長の的確な判断と、教職員を守るという明確な姿勢が、信頼関係を高める。

時・労・誠を惜しまず

  筆者の拙い経験から、大概の困難は「時を惜しまず、労を惜しまず、誠を惜しまず」を念頭に乗り切ってきたように思うが、校長時代に座右の銘とした「判断に迷えば子どもにかえる」が、全ての解決につながったと確信している。


校内の課題と向き合う(下)>>

前田 勉
前:大阪府高槻市校長会会長  現:大阪青凌中学校・高等学校入試広報部

【2013年6月17日号】

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