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仕事の「ダマ」に押しつぶされないようにする WBSという考え方 (2006年07月27日)

先生の仕事も大変なもので、各種調査の結果を見ると「書類が多くて、子どもを十分に見ていられない」という意見が多いようだ。先生でなくても「日々の仕事が大変で、大切なことに注力できない」という人は多いだろう。

今日は、プロジェクトマネジメントの分野から、WBSという考え方を引っ張ってきてみる。WBSは、仕事が大規模、複雑になっているとき、対処する方法を考えるための方法だ。

■そもそもプロジェクトって何ですか?

ひょっこり「プロジェクトマネジメント」という言葉を出しましたが、プロジェクトマネジメントとは、一体何か。簡単に言えば、

「目標を達成し、成果物を生み出すために、一定の時間と、一定の予算とを投入する業務遂行の形態」

教育現場なら、細かく言えば毎時間がプロジェクト。

一定の時間:1時間
一定の予算:1時間の教材費、1時間の先生人件費、1時間の減価償却費etc...
目標:その時間の教育目標etc...
成果物:時間終了時の子どもの状態、クラスの状態、子どもの制作物etc...

という感じ。もちろん、その月スパンのプロジェクトもあるだろうし、その年スパンのプロジェクトもあるだろう(今月は、話し合いができるようにするとか、2年受け持つから、来年度に向けて、今年度に算数の基礎をしっかりするとか(※注))

※注:ただし、こういう目標の立て方はよくないとプロジェクトマネジメントでは考えます。あくまでも数値で測れるものにします。理解度や変容を測るのは難しいと考えるかもしれませんが、工夫すれば意外に測れるものです。コツは、行動を測ること。意識を測るのは、とても難しいのです。アカデミックな世界でも「意識って、本当に測れるの?」という侃々諤々は、いまだ途絶えません。

■複雑さを低減させるための「WBS」
目標や成果が、2つ3つの作業だけで達成されてしまうのであれば話は簡単だが、世の中そんなに甘くない。一定の目標を達成するためには、一定の手順を踏んで、複数の作業を組み合わせる必要がでてくることが多くなる。それを、ひとまとまりにくくって考えてしまうと、

「問題はダマになってやってくる」(by アントニオ猪木)

と感じてしまって、自分が作り出した「ダマ」に、精神的に押しつぶされてしまうことになる。

そこで、登場するのがWBS(Work Breakdown Structure)。WBSとは、プロジェクト完成までに必要だと考えられるすべての作業を、細かい作業リストとして書き出したもの。WBSを作成する際には、以下のような過程を経る。

1:プロジェクトの成果物を作るために必要な作業を考える
2:その作業をさらに分解・細分化していく

つまり、達成すべき目標から「目標達成のためには作業Aが必要」「作業Aのためには作業Bと作業Cとが必要」と細分化していく。つまり「作業のための作業」をどんどん作成していく。この過程を繰り返すと、直ぐに実行できるレベルの作業リストが、自然とでき上がることになる。


■複雑さを低減させ、イメージを沸かせる「WBS改」
授業は相手がいることなので、どういう反応が返ってくるか分からない。また、おこなったことのない教育プログラムなので、作業分解をしていても、実際の教室のイメージや作業のイメージが沸かない。そんなときには、WBS改。具体的なイメージをもてるようにするためのWBS改良版だ。

WBSでは、作業を分解して、シンプルな作業にまで持っていく。WBSでは、この過程を成果物ベースで考える。

1:プロジェクトの成果物を作るために必要な作業を考える
2:その作業でできあがる成果物はなにか考える(プチ目標)
3:2で考えた、成果物を作るために必要な作業を考える
4:以下、さらに分解・細分化していく

つまり、達成すべき目標から「目標達成のためには、作業Aで完成される成果物Aが必要」「成果物Aのためには、作業Bで達成される成果物Bと、作業Cで達成される成果物Cとが必要」といった具合にWBSを展開していく。これにより、できあがるもの・子どもにできるようにすることの具体的・物理的なイメージが沸くため、その先に分解していく作業のイメージがしやすくなる。

■「問題はダマになってやってくる。一つ一つほどいてやっつけていけ」

重要なのは、作業をできるだけシンプルにすること。やったことのない試みや、教育プログラムでも、作業をシンプルにすればするほど、従来に経験した作業内容と類似してくる。そうなれば、気後れせずに作業に取り組めるようになる。複雑に見えることは、単純なことが組み合わさってできている。複雑なまま取り組もうとするから、大変になる。

先ほど引用した言葉、

「問題はダマになってやってくる」(by アントニオ猪木)

には続きがある。

「一つ一つほどいてやっつけていけ」

そういうことです。(榊原)



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投稿者 kksblog : 2006年07月27日 14:55


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