●難治性てんかんにともなう学習や記憶障害での病態メカニズム解明 (2007年11月21日)
これは、財団法人東京都医学研究機構、東京都神経科学総合研究所の山形要人副参事研究員と、大阪大学大学院医学系研究科の田中秀和助教、及びカリフォルニア州立大学ロサンジェルス校医学部のEdward・M.De・Robertis教授との共同研究によるものです。
by Gary Bydlo
てんかん発作によって、神経細胞間のシナプスが減少するメカニズムが、世界で初めて明らかにされました。
シナプスというのは、神経細胞どうしのつなぎ目、神経細胞と筋肉とのつなぎ目のことをいいます。ある神経細胞の情報が、シナプスで化学的または電気的に伝達され、情報の乗り換えが何度も起こることで、脳から身体の末梢へ、あるいは末梢から脳への情報伝達が起こります。
この研究成果は、米国科学雑誌「Neuron(ニューロン)」に掲載されました。
「難治性てんかん」というのは、抗てんかん薬を投与しても発作が完全に消失しないことで、こういう患者さんもいます。発作が止まらないと、脳の機能に重大な障害をもたらす可能性があり、特に小児では、約3分の1の患者さんに精神・発育・学習の遅れが生じ、重度の場合には脳機能が荒廃することもあるそうです。
このような「難治性てんかん」に伴う発達障害のメカニズムとして、発作が繰り返し起こる結果、脳内の神経細胞間のシナプスが減少して、記憶や学習といった知的な機能に悪影響を与えることが考えられてきたものの、その分子レベルでの詳細な病態メカニズムについては、これまで分かっていませんでした。
研究の中で、強いけいれんを伴う発作が起きた時に、脳内の神経細胞内でアルカドリンという分子が多量に作られ、そのアルカドリンがシナプス間の接着分子であるN-カドヘリンという物質を神経細胞内に引き込んでしまうことにより、“シナプスを刈り取ってしまう”というメカニズムが明らかになりました。
この研究によって解明された病態メカニズムは、これまで全く提唱されていなかったものです。
そして、てんかん発作後に、アルカドリンやp38 MAPキナーゼ(細胞内で情報を伝達する分子で、熱ショックや紫外線、炎症性サイトカイン、虚血など各種のストレスによって活性化されるもの)を一過的に抑制することがによって、学習・記憶障害の予防につながると考えられ、新たな創薬や治療法の開発に寄与することが、期待されています。
また、てんかんの病態メカニズムのみならず、たとえば、自閉症を含めた発達障害患者にみられる「認知機能障害」など学習障害を引き起こす他の疾患の病態解明につながることも、期待できるそうです。
脳の機能というのは、なかなか複雑で深いものがあるのでしょうね。人間の身体というのは、本当によくできているものなんだと感じることが多くないですか?色々と困ってらっしゃる患者さんや家族がいることを思うと、研究をされている方たちには、これからもよろしくお願いします、という気持ちになりますね。
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投稿者 kksblog : 2007年11月21日 19:51



