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実験主体の授業で理科の魅力に触れる(社会人講師活用型教育支援プロジェクト) (2009年01月22日)

博物館に来ているみたい。
実験ができて楽しい!


社会人講師活用型教育支援プロジェクト 墨田区立業平小学校 (東京都墨田区) では10月31日、 「平成20年度社会人講師活用型教育支援プロジェクト」 (経済産業省委託事業) による6年生の理科 「電流を作り出す力」 が行われました。

特別講師に企業で働く現役のエンジニアを招いて実施された実験主体の授業を受けて、女子児童は 「いつもはノートを書くことが多いけど、今日は実験ができて楽しい。博物館に来ているみたい」 と興奮した面持ちで語りました。

◇                   ◇

「社会人講師活用型教育支援プロジェクト」 は、理科への関心を高め、授業効果を向上させるため、特別講師として企業で働く技術者・ 研究者や大学教員などの社会人講師 (地元産業界の技術者やOB等) を小学校の5・6年生の授業に派遣し、 実験を主体とした授業を通して理科の学習内容と日常生活との関係をわかりやすく児童に解説するものです。 全国コーディネーターを務めるキャリアリンク株式会社をはじめ、地域コーディネーターや協力企業が連携して全国10地域で展開しています。

社会人講師 活用事業(実験に興奮)授業案は、各地域で定められた地域コーディネーターが調整役となりながら、 社会人講師と現場の教員が共同して作成するため、前後の授業との接続もはかられるため学校も安心して依頼できます。この日、 墨田区立業平小学校で行われた授業では、同校の小林知久教諭、小礒祐子教諭、社団法人日本理科教育振興協会 (地域コーディネーター)、 株式会社ナリカ (協力企業) の3者が連携して 「電流を作り出す力」 (第6学年)が実践されました。


講師はナリカの渡辺泰樹氏 (企画部技術課)。導入で身近にある電気を確認した後、コイルやモーター、 手回し発電機を活用した実験などを実施しました。児童はまず電磁石をもとにコイルを作り、発電に電磁石が関わっていることを学び、続けて、 分解できるモーターを手にしてモーター内にコイルと磁石があること、モーターで電気を作れることなどを理解して、 モーターを使った手回し発電器を用いて連続的な発電を行いました。

休み時間にもかかわらず、 実験に熱中する子ども達

手回し発電機を使い複数の豆電球を1分間点灯させる実験では、はじめのうちは元気よくモーターを回していた子ども達も、 時間が経過するにつれて 「疲れた」 「もう無理」 「腕が痛い」 との声が聞かれるようになります。予定の1分が経過した頃には、 みな消耗した様子。とはいえ、取り組む子ども達の表情は明るく、休憩時間にも多くのグループが席を立つことなく熱心に実験を続けていました。

渡辺氏は 「この実験は発電所と同じ。発電所も手回し発電機と同じ原理でモーターを回していて発電所は休 んだりせず、 教室と同じくらい大きなモーターがもっと速くいつも回っている」 と説明。改めて実験内容を日常生活と関連付けることで、 エネルギーについてもより深い理解が可能になります。

社会人講師活用事業また、実施校の要望を反映させる形で、発光ダイオード (LED) や燃料電池など新しい技術や発電方法もあわせて紹介されました。こうした実験は、 日々忙しく子ども達と向き合う教員ではフォローすることが難しい内容だけに、 子ども達だけでなく教員サイドにとっても嬉しいものです。この日は、 低消費電力で長寿命な利点などから応用が進むLEDと既存の豆電球を点け比べたり、 燃料電池に水素と酸素を送り込み効率的に電力を発生させる実験が行われました。


まとめに渡辺氏は、人工衛星がとらえた夜の地球の画像をスクリーンに投影し、闇夜にひときわ明るい日本列島の様子を映し出しました。

 「こうして見ると、日本の位置もよくわかる。最近、『省エネルギー』 『電気を大切に』 とすごく言われている。 省エネルギーとは生活に使っている資源を無駄にしないこと。電気を使わないで生活するのは難しいが、 これからはエネルギーのムダについても考えていかないといけない」

多くのメディアで 「エコ」 が語られるなか、具体的にイメージしたり身近なものとして捉える機会は多くありません。 こうした実験主体の授業を通して、子ども達も理科の面白さや環境への配慮の大切さに触れることができたようです。 「社会人講師活用型教育支援プロジェクト」 は現在、取り組みを広く普及させるために、 授業案のサンプルやモデル授業の映像等をWebサイトで紹介しています。(吉木)

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投稿者 kksblog : 2009年01月22日 18:23


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