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小規模校の課題をICTで解決  (2017年05月25日)

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 文部科学省は平成28年度、「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持・向上に係わる実証実業」に取り組んだ。本事業では全国12地域で先進的な取組を展開。評価委員を務める山本朋弘准教授(鹿児島大学教育学系)に、徳之島町(鹿児島県)と高森町(熊本県)で実践した遠隔授業の方法や効果について聞いた。


小規模校には、学習集団が固定化しがちで多様な見方や考え方が出にくいこと、専門性の高い教職員が少なく外部人材の確保や研修を受講する機会も困難であること、複式学級であることから個別に学ぶ機会が多いことなどの課題がある。
 両町ではこれらの課題を遠隔システムや電子黒板などのICTをどう解決していったのか。

3校で学び合い遠隔で一体感  鹿児島県徳之島町


 徳之島町では、複式教育を行っている3校(母間小、山小、花徳小)が連携して小規模校の課題解決に取り組んだ。
 遠隔授業では、小規模校2校の5年生と6年生をそれぞれ同学年同士、遠隔会議システムでつなぎ、2校1教室で学ぶ。
 まず、学習の流れを決めた。5年生は「課題提示」「自力解決」「発表練り上げ」「まとめ」の順番で授業を実施。6年生はこれを1つずつずらして「自力解決」から始め、「課題提示」で授業を終える。
 このうち教員が対面で支援するのが「課題提示」「発表・練り上げ」「まとめ」の3つ、児童がドリル学習やワークシートなどICTを活用するのが「自力解決」「まとめ」の2つだ。この流れで行うことで、2校で多人数での授業が可能になり、一斉授業と個別学習にメリハリが生まれた。児童に学習規律を身に付けさせることにも役立った。
 電子黒板ならではの活用も見られた。
 電子黒板を2台使い、一方に問題文や課題を提示・共有。もう一方は実物投影機やビデオカメラを通して、接続先の学校と共有する。算数の作図など基礎基本の習得については、教員が実物投影機を使いながら2校同時に説明した。
 遠隔会議システムのホワイトボードを複数拠点で共有できる機能を活用して、思考ツールを使いながら考えを深めた。
 参加児童全員の作品やワークシート、ノートを電子黒板上で共有して発表し合うなどが可能になった。

ALTと接する機会遠隔授業で増やす 熊本県高森町

 小規模校は、ALTなどの専門的指導や研究授業など教員の学び合う機会が少ない点も課題だ。
 そこで高森町では、継続的にALTの授業を遠隔で展開。1週目は小規模校にALTがアテンド、2週目は中規模校にALTがアテンドして遠隔授業でつなぎ、ネイティブの発音に親しむ機会をこれまでの2倍に増やした。遠隔で児童同士が英語でやりとり、ALTとやりとりする取組はすぐに定着した。

専門家をリスト化 連絡調整を円滑に
 さらに小規模校2校(高森東小・高森東中)と中規模校2校(高森中央小・高森中)が連携しながら教員の力量を高める試みに取り組んだ。
 美術の合同授業では、2校の技術科教員と美術科教員が合同で学び合いを実施。グループ学習を遠隔で行うことで児童は多くの意見を交流できるようになると共に、協働学習を展開するための情報交換が教員間で進み、授業力の向上が見られた。
 JAXAと遠隔でつないだ共同学習も実施。
 専門機関や専門家との交流リストシステムを構築し、連絡調整がスムーズに行えるようにしている。共同学習に初めて取り組む教員にとって、交流先を見つけることは容易でない。リストを活用することで連絡調整をスムーズに行うことができ、学習の深まりを持たせることができた。



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投稿者 kksblog : 2017年05月25日 15:30


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