« 出会い系サイト、女児の多くが被害者に | トップページへ | 「学校の第三者評価に関する実践研究」文部科学省 »

これから日本の子育て支援はどうなるのか? 児童税額控除の課題 (2007年09月03日)

「所得税による子育て支援-児童税額控除の課題-」が前・内閣府経済社会総合研究所の研究官によって発表されました。

kids&tax070903.jpg
by pzado

この調査では、一.現行の所得税の扶養控除の意義と児童税額控除の位置づけ、二.所得税の控除と児童手当との関係をめぐる論点、三.還付可能な税額控除の活用の可能性と課題および四.諸外国における児童税額控除などの事例を調査し、子育てを支援する方法としての児童税額控除に関して検討すべき課題を整理しています。

2005年に人口減少社会へと突入した日本にとって、少子化対策は国の基本にかかわる最重要な政策課題です。少子化の要因としては、子育てに対する負担感の増大が指摘されています。核家族化によって親世代による保育が期待できないこと、高学歴化による教育費負担の増加や雇用の不安定化など経済社会状況の変化を反映して心理的、肉体的負担や経済的負担が増大しています。

政策の一つとして、税制における子育て支援策が2006年前半頃に盛んに議論されました。たとえば、税制調査会は子育て世帯への経済的支援として「児童にかかわる扶養控除を税額控除とする」案を提示してきました。これまで所得税および個人住民税では、児童の扶養を所得控除である扶養控除によって認識し、子を持つ世帯の税負担を軽減してきました。税額控除はそれにかわるものとして子育て世帯の経済支援のニーズに応えるのに適した方法なのかは、まだ課題として残されています。

「所得税による子育て支援-児童税額控除の課題-」の調査の結果、児童税制控除の採否の判断に当たっては、以下の事項の確認が必要だという結論に至りました。

(1)児童税額控除が子育て世帯へ経済的支援を行う方法として効率的なものであるかを精査すること。

(2)家族構成を考慮する規定として担税力の観点から認められたとされる現行の扶養控除のあり方を併せて議論すること。

(3)非納税者への効果を及ぼす還付可能な税額控除とする場合には、税務当局が給付を行うことによる追加的な執行コストを抑えた仕組みが構築できるか検討すること。

(4)分配の公平と効率的な支援を実現するために、税制の控除と児童手当の制度および執行のあり方について一体として議論すること。

また、これらを検討していく中で、子育て支援という日本の重要な政策課題において、所得税制および税務当局が何らかの役割を本当に果たしうるのか、あわせて所得税によって重要な要素と考えられた家族配慮のあり方はどうあるべきかが明らかになることが望まれています。

諸外国の子育て支援には目を見張るものもありますが、日本の子育て支援もそれに習って大きく変わろうとしています。そんな今だからこそ、少子化対策に必要な控除について、子を持つ親としてもう一度真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

■関連記事
KKSブログ: 保育所保育指針の改定について、現段階での中間報告
KKSブログ: 低出生率地域では、労働時間が多く、家族支援が少なく、多様性寛容度が低い
KKSブログ: 理想の子どもの数は2.66人 内閣府「社会意識に関する世論調査」

所得税による子育て支援-児童税額控除の課題-



« 出会い系サイト、女児の多くが被害者に | トップページへ 「学校の第三者評価に関する実践研究」文部科学省 »

最新記事一覧

投稿者 kksblog : 2007年09月03日 20:37


コメント
ブログ内検索
昔の記事を読む
メルマガ・RSSで読む
毎週水曜日、1週間分のニュースをまとめてお送りします(無料)。<サンプルはこちら>

【購読はこちら】
ネタを提供する
教育に関するネタ大歓迎。お気軽にどうぞ!!



ネタなどへのお返事
KKSブログ for mobile
mobileaccess.gif

最新15記事の大事なトコだけ読めるようになってます。あと、古い携帯は文字化けするかも


KKS Web News 教育家庭新聞(C) KKS ブログトップ