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言語習得のための脳活動の記録に成功 (2008年07月21日)

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理化学研究所と科学技術振興機構が、言語習得において重要な基盤能力である音声分節化の活動を記録することに成功しました。

音声分節化とは、連続音声の中に埋め込まれている単語の境界を見つけ、音声を意味のあるまとまりに区切る過程のこと。言語の習得に必要であり、赤ちゃんは、親の会話、テレビなど周りの環境から発せられる音声を無意識的に聞き、出現頻度の高い単語を「ひとかたまり」として区切って分節化していると考えられています。分節化の活動は、これまでに行なわれたさまざまな行動研究から、連続音声の系列に含まれる統計的情報(遷移確率)が、重要な手がかりになることがわかってきています。

研究チームは、連続音声の分節化がどのように行なわれ、どんな神経機構が分節化を可能にしているかについて、研究を進めました。

研究方法は、12半音階の中で、無意味単語を6個作り、それを隙間を空けずに7分間の連続音刺激を作り、被験者28人に3回聞かせ、その時の脳波を記録しました。その結果、遷移確率がもっとも低い単語の切れ目(単語の第1音目)で、単語の第2、第3音目に比べ、振幅の大きいN400電位(頭皮上で記録される陰性の脳電位)を観察しました。

そして分節化の学習成績をもとに被験者を3グループにわけたところ、成績の高いグループは、遷移確率がもっとも低い単語の切れ目(単語の第1音目)で、単語の第2、第3音目に比べ、振幅の大きいN400電位を観察しました。これは、遷移確率が低いほど振幅の大きいN400電位が出現していることから、被験者が連続音刺激の中で次に聞こえる音を予測し、統計的情報を手がかりにして分節化し、N400電位がその統計的学習および分節化を定量的に反映していることを示唆します。

音声分節化の際に出現する脳波の記録は、学習の進行過程や達成度を示す重要な指標になりうるとされ、乳幼児の言語獲得・発達の観察、失語症など脳障害患者のリハビリ効果の観察および教育開発において、大変重要な知見となると考えられます。

言語獲得の能力は、誰もが生まれながらにして持っている分節化能力であるというメカニズムを解明し、記録できたことに驚きますね。さまざまな治療や教育においての貢献が期待されます。


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投稿者 kksblog : 2008年07月21日 04:29


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