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社会で役立つ4領域を学ぶ「よのなか探究教室」(ベネッセ) (2007年09月20日)

コミュニケーション力の育成へ
 NPOと共同で新たなプログラムを開発


夜間に帰宅中の女性が後ろから来たバイクに乗車した人物にバッグをひったくられ、財布とブレスレットを盗まれた。 その後の捜査で浮上した被告人は果たして真の犯人なのか。。。

Benesseサイエンス教室吉祥寺校(東京都)では8月23日、「バックひったくり事件裁判」が〝開廷〟されました。 株式会社ベネッセコーポレーションがモニター授業として実施している「よのなか探究教室」(「情報・コミュニケーション」コース) での一コマです。

被告人の陳述に耳を傾ける子どもたち    

ベネッセコーポレーションでは、NPO法人企業教育研究会 (理事長 千葉大学教育学部准教授・藤川大祐氏)と共同でオリジナルプログラムを開発、科学的思考力を身につける実験教室「サイエンス教室」の児童を対象に、 このプログラムを取り入れた「よのなか探究教室」(情報・コミュニケーション/お金・経済/仕事・キャリア/環境・社会参加の4コース) を行っています。

揺れる判断 情報の見極めが大切

「情報・コミュニケーション」(全3回)は、
広告や新聞、雑誌、選挙のポスターを読み解き、情報の送り手と受け手を体験する「ニュースを作ろう」
質問する力の重要性、相手を考えたコミュニケーションの大切さを理解し、集中して話を聞く力をつける 「新聞記者になろう」
事実を基に論理的に伝える「裁判に挑戦」で構成。

相手を意識し、相手のことを考えてコミュニケーションする力を養うのが狙いです。

情報を事実と意見に分けるワーク
‘裁判’ の前には情報を事実と意見に分けるアクティビティも

3日目となったこの日の授業には、4~6年生の子どもたち18名が参加、テーブル(子ども4、5名)ごとにサポート講師が1人付き、 ワーク教材やカード、映像等を利用して進められました。

子どもたちは裁判官、検察、弁護士、被告人に扮した講師陣から説明される〝ひったくり事件〟の経緯や容疑者に関する情報、 逮捕理由について熱心に聴き入り、被告人が有罪か無罪かを判断、またその判断の根拠について各々が発表するというものです。

検察や弁護士、被告人の説明から、子どもたちは判断材料となる事実をワークブックにその都度まとめていく。当初は被告人を犯人だと 「思う」子が12人、「思わない」は6人だったが、裁判が進行するにつれ、「思う」7人、「思わない」11人とその判断も揺れる。

プログラムを通して、同じ情報でも人によって受け止め方に違いが出てくることを体験し、 主観に拠らず事実をもとに情報を正しく伝えることの必要性を学ぶことができます。

実務に携わる弁護士も動画で登場

法廷のまとめには動画で「情報というものは、大人が社会で繰り返し行っている判断の前提にあり、 その重要性を認識できたのは今後の役に立つでしょう。正しい情報が正しく伝えられ、正しく判断できる大人になって」 と実在の弁護士がコメント。

終わりに講師は「情報・コミュニケーション」プログラムの総括として、「メディアを通して情報は伝わり、 送り手の意図が反映されている。自分が送り手になったらどう情報を伝えるか考えることが大切」(1日目)、 「相手の話を聞くときは質問とテンポが大事。たくさんの人との出会いで経験を深めていってください」(2日目)、 「世の中に出たら判断することはたくさんある。正しい判断ができるよう、事実なのか意見なのか情報を見極めましょう」(3日目) とまとめました。

子どもたちは「情報・コミュニケーション」の3日間を振り返り、「裁判は情報をまとめるのが楽しかった。事実を基に判断したい」 「広告を見るときは、大きな文字だけでなく小さな文字も気をつけて見ようと思った」「学校では〝なぜ〟と聞くことがあまりないので、 2日目のインタビューが楽しかった」などと感想を述べ合いました。よのなか探究教室の構成図


異年齢によるチーム学習を採用


 「よのなか探究教室」では「実用的なコミュニケーション力」「問題解決力」「みらい設計力」の3つの力を伸ばすため、 小学生段階で体験して欲しい4領域として「情報・コミュニケーション」「お金・経済」「仕事・キャリア」「環境・社会参加」を定め、 それぞれプログラムを作成。

150分の授業は1クラス20名弱の少人数制、 コミュニケーション力を育成する観点から小学校4年生から6年生までの異年齢によるチーム学習を採用。

「正解がひとつではないテーマ」「物事を多面的にとらえることが必要なテーマ」を通じて、 自らの頭で考える力がつけられるよう工夫されています。

井戸敦子氏(ベネッセコーポレーション 塾・教室事業企画室)は、教室の特徴の1つである異年齢でのチーム学習について、 「年齢の違いから理解度に差が出ることもあるが、各テーブルに付く講師がフォローすることで、違いを意識してコミュニケーションする力、 協力する楽しさを体験できる。コミュニケーション力の習得を位置づける『よのなか探究教室』ならではの取り組み」と説明します。

参加した子どもだけでなく保護者の反応も良いことから、同社では今後もこの教室を継続、発展させていく予定です。

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投稿者 kksblog : 2007年09月20日 18:23


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