
塩野米松/文、小沢さかえ/絵
農文協
AB判 32頁
1650円
山姥と聞くと昔話の妖怪が思い浮かぶが、この絵本は様子が違う。山姥の12人の娘は、お洒落な装いで一見普通の可愛らしいおばあちゃんたち。都会の高層マンションに暮らすなどして現代社会に溶け込んでいる。
しかし12年に一度、12月12日、キャリーバッグや龍や白熊に乗って空を飛び、母山姥の棲む森に集まり大宴会を開く。山の獣たちと宴の支度をする母山姥は、毛皮を身にまとい狩人のよう。
12という数字は山の神と関係が深い。12月12日は山の神の年とりの日で山の神祭りが行われる。山人は恵みに感謝し山に入らない。山の神は十二様、十二山神様とも呼ばれ、女性神という説も。
そう、この絵本の山姥たちは山の神。著者で秋田在住の作家・塩野米松氏は職人や漁師の聞き書きで知られ、マタギへの造詣も深い。マタギが信仰した山の神を絵本で現代に蘇らせた。獣たちがさまざまな餅を作る場面には東北の餅食文化が息づく。
絵はヤービシリーズの画家・小沢さかえ氏。透明感のある油彩で描かれる、斬新で陽気な現代の山姥に魅了される。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載