地域全体で子供たちの教育や成長を見守る文化が根付いているという水戸市立第四中学校。学校教育目標である「主体性と協働性の育成」を実現するため、学習活動の充実とともに学校業務の改善にも力を入れている。
生徒数995人、教職員79人という大規模校である同校では、従来の学校徴収金の仕組みが事務負担の課題となっていた。そこで今年度より集金代行サービス「学校モール」を導入。その経緯と成果を同校事務職員の鈴木雄大氏に聞いた。

事務職員
鈴木雄大氏
本校では教育目標「主体性と協働性の育成」に向けてさまざまな取組を行っています。特徴的な取組の一つが、毎週木曜日に実施している「質問タイム」です。
自ら考え、対話を通して学ぶことで他者の価値を尊重できるような生徒像を目指して2024年度よりスタートしました。教科ごとに分かれて友達にわからないことを質問したり、助言し合ったりするなど、生徒の主体性に任せ、「自ら舵を握る力」の育成を目指しています。
こうした学習活動を充実させるためには、教職員の学校業務の改善が不可欠です。着任して3年目になりますが、当時の学校徴収金は「3つの金融機関のうち1つを指定して年間4回引き落とし」する方式で、生徒数が多いこともあり、1回の引き落としで約100件の未払いが発生していました。
紙で未払いのお知らせを作成・封入して生徒に配付し、入金がなければ電話連絡や保護者面談を行う必要がありました。さらにそれぞれの金融機関から届く引き落とし結果を別途入力・集約する必要もあり、時間的にも精神的にも負担がありました。
教職員の学校業務改善について、県内の事務職員同士で課題解決に向けた意見交換を重ねるなかで集金代行サービス「学校モール」の存在を知りました。また、当時の学校長が業務改善に意欲的であり、市内の常澄中学校で「学校モール」の導入を検討しているという情報を得ていました。ほかの類似サービスも含めてオンラインセミナーに参加して情報収集を行い、最終的に学校モールを選択しました。
導入の決め手は、県内の阿見小学校が既に導入していたことや市内の常澄中学校と導入時期を合わせることで情報共有が図れること、システム利用料が安価であること、そして徴収から業者への支払いまで一括で任せられる点です。これについては他社サービスではオプション扱いが多く、本校のニーズに合致しませんでした。
職員会議で学校モールについて説明したところ「業務軽減につながるのであれば積極的に導入したい」という教職員からの前向きな意見をいただき、スムーズな導入につながりました。
導入にあたり課題となったのは、システム利用料を保護者負担とする点です。そこで従来保護者負担だった項目の一部を公費負担に切り替えるなど学校予算全体を見直し、保護者負担がこれまでとほぼ同額になるよう調整しました。その後、PTA役員会で了承を得て保護者へ説明文書を配布しました。
また、学校モール担当者の協力を得て教材業者など10数社に対してオンライン説明会を実施。新たな手数料は発生しますが、「教職員の業務軽減につながるなら協力したい」という声をいただき、多くの業者に協力を得ることができました。
導入決定が昨年12月で準備期間は短かったものの、4月下旬の初回登録締切までに91%の家庭が登録を完了しました。
今年度は6月・7月・8月・9月に引き落としを設定しており、既に3回が終了しています。学校徴収金の内訳は、資料集やテスト、ワークなどの各種教材費、生徒会費、PTA会費、スポーツ振興センターの掛け金などです。
最も効果を感じているのは、未入金のお知らせ業務を学校モールが代行するため、学校徴収金業務そのものの負担が大幅に軽減されたことです。
また、保護者が自ら口座情報を入力するため名簿管理がスムーズになり、兄弟関係の把握やPTA会費の世帯管理も保護者側で完結できるようになりました。
保護者にとっても、普段利用している金融機関を指定できるため未入金そのものが減っています。引き落としに間に合わない場合には銀行振り込みに加えてコンビニ支払いを選択できるようになりました。
さらに、学校モール導入後は、一部を除き、事務職員と担当者が確認するだけで業者への支払い処理が完了するようになりました。これまで学年会計担当が行っていた年度末の帳票作成等の業務も削減されており、大規模校ならではの業務効率化が進んでいます。
初年度であるため、校内の業務フローを模索しながら運用を進めてきましたが、今年度は保護者への案内が4月中旬と遅かった、という反省点があります。そこで来年度は新入生の登録を早期に進めるため、年度内に準備を完了できる体制を整える予定です。また、現在保護者負担であるシステム利用料について、公費負担への移行を市教育委員会と協議することも考えています。
市の研究組織で業務改善の成果を発表したところ、市内の他校から問合せが複数件届いており、学校徴収金の業務改善への関心の高まりを感じています。
さらに本年秋に行われる県教育研究連盟主催の研究集会では分科会「教育条件整備と教育の問題」で、本校の学校徴収金の業務改善について報告する予定です。
同時期に学校モールを導入した常澄中学校とともに、本事例を市内全体に広げ、教職員の負担軽減につながればと考えています。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載