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教育ICT

次世代校務環境”調達前”から “運用”まで見据えた全体設計を「共創」で支援~Round Table【谷正友氏×アライドテレシス×ソリトンシステムズ】EDIX東京2026

2026年4月25日
EDIX東京2026

「次世代校務環境への移行」を2029年度までに完了する──この「教育DXロードマップ」で示されているKPIを達成するためには2026年度に本格的な検討を始める必要がある。国もそのための施策に着手しているところだ。

次世代校務DX環境に向けたより効果的な提案に向けて、アライドテレシスとソリトンシステムズは協力して進める考えだ。学校DXアドバイザーである谷正友氏(一社・教育ICT政策支援機構代表理事)を交えて、一層本格化する校務DX環境構築について三者が討議した。

セキュリティと利便性が両立する時代になった

──「次世代校務環境」準備期間であったこれまでをふり返り、構築に向けた今後の方向性をご提案ください

一社・教育ICT政策支援機構 谷正友代表理事

一社・教育ICT政策支援機構 谷 正友代表理事

 国は次世代校務環境を2029年度までにすべての学校に整備する方向性を示しています。しかしネットワークの全体設計は簡単なことではなく、新しい機器をいくつかそろえればすべての課題が解決するわけではありません。この流れを理解できないまま運用・調達したり、導入を検討したりしている自治体もみられます。
例えば「GIGSスクール構想の下での校務DXチェックリスト」においてランキングの高い自治体であっても、「〇〇のDXは進んでいる」一方で、昔ながらの方法も併用している、そのためメリットを享受しきれず、結果「ただチェックすべき場所が増えただけで効率化が図られた実感がない」例も生じています。
最終目標達成のための途中経過であると共有できていればよいのですが、そうではない場合、現状に不満をもつ声が出てその後の進捗に問題が生じます。モダンな環境ではないまま形だけ、もしくは一部だけ真似る場合に起こることです。

一方で文部科学省において議論は猛スピードで進んでいます。2026年度に計画を立案し、翌年度予算に盛り込むと運用が2028年度になると考えると、そろそろぎりぎりのタイミングといえます。このスケジュール感を今、改めて共有する必要があります。

アライドテレシス マーケティング本部 福田香奈絵本部長

アライドテレシス マーケティング本部 福田香奈絵本部長

福田 次世代校務環境は、単に校務システムをクラウド化すれば完結するものではありません。実際には、ネットワークの再設計やセキュリティの考え方、将来どのような活用を見据えるのかまで整理した上で、全体の道筋を描くことが重要で、無線環境・認証・セキュリティ・運用管理が密接に関係します。

弊社は長年、学校向けにネットワーク機器をご提案してきましたが、設計段階でそれぞれを個別に検討してしまうと、導入後に「つながらない」「使いにくい」といった課題が顕在化しがちでした。こうした背景から、私たちは一社で完結させるのではなく、強みを持つ企業と協力しながら、調達前から運用までを見据えた全体設計をご支援する「共創型」の提案を重視しています。

ソリトンシステムズ社とは、ネットワークと認証・セキュリティを一体で検討できるパートナーとして連携しています。

ソリトンシステムズ ITセキュリティ営業統括本部パブリック推進部 富本正幸部長

ソリトンシステムズ ITセキュリティ営業統括本部パブリック推進部 富本正幸部長

富本 共創というキーワードに強く共感します。弊社では、教育分野において認証基盤とクラウド型フィルタリングサービスを中心に提案しており、アライドテレシス社とは弊社のRADIUSサーバ(ユーザ認証情報を一元管理する)製品化の際の検証をお願いして以来のお付き合いとなります。

無線環境に加えて認証の仕組みは、クラウド環境において必須です。しかも運用が楽になることが重要と考えます。弊社がこだわりをもって提案している認証の仕組みであるデジタル証明書を活用した「Solition OneGate」は、多要素認証を実現し、無線LANやクラウド利用への認証を安全かつ利便性を享受しやすいストレスフリーな環境を提案できる点をさらに浸透させていきたいと考えています。

アライドテレシス プロダクトマネジメント部 山中章寛部長

アライドテレシス プロダクトマネジメント部 山中章寛部長

福田 スムーズなセキュリティの地盤があって初めて高速ネットワークの利便性を享受することができます。

山中 すべてにおいて完璧な環境を準備できれば良いのですが、コストとのバランスも求められます。最近ではWi-Fi7や10Gbpsに対応したスイッチ等の引き合いも増えましたが、予算等の関係でマルチギガ(1Gbpsを超える通信速度2・5Gbpsや5Gbps)やWi-Fi6Eで落ち着く、というケースも少なくありません。

富本 実現したいことが決まっていても、予算には限りもあります。コストカットしながら快適な環境を入手する全体設計もお手伝いができます。

GoogleやMicrosoftなど、ベースとなるソリューションはさまざまです。どの製品を選択するのかについては自治体により最適解が異なります。OSの仕組みにセキュリティもすべて任せるのか、コストを考えて別な仕組みで構築するのか。その際に弊社の仕組みがどうメリットがあるのかについて、さらに訴求していきたいと考えています。

 かつてはコストをかけて整備したにもかかわらず煩雑で使いにくい仕組みしか構築できない、ということも多く、セキュリティと利便性はトレードオフの関係でした。いまや両立する時代が始まっており、適切な対策が利便性を上げるという世界観に届いています。両社がタッグを組んで提案することはとても大事です。

山中 組織内でインフラが完結するオンプレミスが一般的だった時代は、自治体ごとに仕組みが異なり、その内容も不透明でした。現在は近隣自治体の状況の情報共有も進み、一気に広がる素地が整いつつあると感じます。

どこまで共通化するのか整理して共同調達を行う

──次世代校務環境は、都道府県単位での共同調達が必須となっています。共同調達のポイントの整理をお願いします

 次世代校務環境構築の目的は、新年度や異動直後など多忙な時期であっても、子供との新たな関係性の構築に集中できるような環境を整えよう、というものです。そのためには異動先でも同じような環境にする必要があります。しかしデータ利活用やセキュリティ対策も含めて適切なインフラを整備することは、小規模の自治体単独では難しいことから、県域の共同調達が必須とされています。

山中 そうなれば、異動先でもすぐに仕事に集中できそうです。

一方で、さまざまな仕組みがあるなか、一つのものに「決める」ことは確かに簡単なことではありません。例えばですが、教育クラウドなどを国が構築するもしくは指定する、環境に応じたいくつかの仕組みがあれば、より円滑に進むのではないでしょうか。

 共同調達は、都道府県が仕様書を検討、運用と活用は市区町村という仕組みから、都道府県と市区町村の意思疎通に課題感をもつ自治体も少なくはない点が懸念です。

GIGA1期で奈良県と奈良市の連携がスムーズだったのは、とにかくICT関連の調査でほぼすべてが最下位である、という課題が共有されていたからです。セキュリティ基盤及び統合型校務支援システムまで統一しましたが、どこまで共通化するのが最もスムーズに協力できるのかを整理することです。

福田 弊社は全国に43か所の拠点を持ち、各地域の実情を踏まえたネットワーク設計や課題整理を行ってきました。

仕様検討の段階からご相談いただくことで、県・市町村双方の考え方を整理し、現場で運用しやすい形に落とし込むお手伝いができると考えています。

特定が難しいネットワーク遅延の原因

──「ネットワークが遅い」という声についてはどのように解決していけばよいですか

山中 ネットワーク遅延の原因はさまざまです。回線の帯域不足なのか、スイッチの性能なのか、設定もしくはセキュリティ関連なのか。システムのレスポンスそのものが遅い場合もあり、それについての原因も一つではありません。

 そうなんです。見える課題はピンポイント。しかしボトルネックの特定は簡単ではなく、一つであるとも限りません。自分が理解できる範疇で質問したり対応したりするため、問題が解決しにくいのです。

富本 その一つが、DHCPの払い出しです。なかなか伝わらないのですが、ストレスフリーなネットワーク環境を手に入れるために重要な要素の一つです。この処理能力が遅いと、ネットワーク上のデータにアクセスするまでに時間がかかってしまいます。これも「ネットワークが遅い」と表現されます。

 電波にはつながっているがアドレスをもらうことができず、タイムアウトでアクセスできない、という状況はよくあります。バスに乗るための行列が長いほど、乗車に時間がかかり、なかなか出発できないイメージです。

富本 弊社では通信遅延の原因の1つであるIPアドレスの払い出しを高速で行う専用DHCPサーバ「NetAttest D3」も提供しており、検証機を貸し出しして効果を確認いただいた上でご導入いただいています。

 目指す目的を示した地図を用意し、担当が変わっても継続できる点も重要です。デジタル庁と文科省が示した教育DXロードマップは、そのような意味をもっています。

いくつかの自治体にアドバイザーとして関わっていますが、ある自治体ではネットワーク統合と教員用端末の一台化が終わり、働き方改革にマッチするセキュリティ環境を整備しています。統合型校務支援システムについては次の検討です。

また、別の自治体では、県下に所属する自治体の端末はさまざまなOSが混在していますが、認証基盤を共通にしています。今、自分たちがどの段階にいるのかの把握が大切です。

福田 それを聞くと、「ネットワークは全体設計が大事」という考えが一層、強くなります。

確実に進むデータ活用はネットワークが基盤になる

──次世代校務環境の大きな目的の一つがデータ活用です。現段階では取組状況に各自治体で差がありますが今後の方向性についてはいかがですか

 デジタルドリルのほか運用中のシステムに蓄積されたさまざまな情報を学校教育にどう活用していくか。教育委員会にいても学校の様子を見ることができ、それをAIが分析して可視化、授業改善やリスクを把握して対応に活かす--こういったことが手の届くところまできていると感じています。

一方で、ダッシュボードを準備してデータ活用の仕組みを整えても活用が進んでいない場合もあります。特に見える化しなくても、わかる先生にはわかっている。そこに先んじて時間をかけようと思わないのです。本当に役立つ仕組みはどのようなものか、開発者も教員や教育委員会も試行錯誤しているというのが現時点でしょうか。

福田 学校のデジタル化は「以前よりは便利になっている」ものの、将来的なデータ活用は、快適に安全に利用できるネットワークがあってこそです。

 データがあれば、説明責任を果たすことができます。経験に加えて記録と根拠に基づくことで、周囲や関係機関の協力や対応を仰ぐなど、いざというときには役に立ちます。セキュリティ意識も高まりつつあり、確実にデータ活用は進んでいくでしょう。さらに日常的なデータをごく自然に活用するような仕組みも生まれつつあります。

富本 整備前に予測していた活用と現在の活用にギャップが生じていると感じます。ネットワークが統合され、クラウド上のデータにアクセスしやすくなり、さらにそのデータをAI等により分析、フィードバックされるなどにより、教員の業務のかたちもこれまでとは変わりつつあります。自由にアクセスできることで生じる危険の回避については、セキュリティメーカーとして力になりたいと考えています。各地域の販売代理店とも情報交換をしていきます。

福田 GIGA1期当初は「端末があればなんでもできる」というイメージもありましたが、ストレスなく活用するためにはネットワークの強化が必要であることがようやく周知されました。弊社はWi-Fi7や6E、10Gbps対応スイッチなど多様な製品を提供しており、スムーズなデータ活用に向けた柔軟なネットワーク設計を支援していきます。

 国の支援も活用できます。総務省では地域情報化アドバイザー派遣制度を継続して行っています。また、文部科学省は予算案によると校務DX導入に向けて専門家派遣事業を行うようです。校務系・学習系ネットワーク統合の設計助言やセキュリティ設計などを専門家が伴走するものです。新しい制度として期待しています。

伝え、理解するために必要な見聞を広げる機会

──EDIX東京の来場者にメッセージをお願いします

富本 セキュリティや認証の仕組み、ネットワークの全体最適について、少しでも理解を深めたいと思っている方は気軽にご質問ください。何がわからなくて不安なのか、リアルな今の状況を知ることは、よりわかりやすい説明や提案につながります。お気軽にお立ち寄りください。

福田・山中 弊社も同じように考えています。EDIX東京ではネットワークの更新やセキュリティの強化、人手不足への対応などの課題についてITインフラによる解決方法をご提案する予定です。また、導入事例のコーナーでは、具体的な製品の組み合わせ方や活用方法をご紹介します。お互い日本発の老舗のセキュリティメーカーとネットワークメーカーとして協力し合い、よりよい提案を学校に届けます。

 EDIXはさまざまな立場の人が来場する場です。そのため課題感がずれていたり言葉がわかりにくかったりということが生じます。教員と業者間でもそうですが、扱う製品が異なる業者同士でも、言葉が通じていないと感じることがあります。相手に伝える、理解するために必要な見聞を広げる機会です。次世代校務DX環境を進めるぎりぎりのタイミングですから、自分事として考えてもらうことが一層、大切です。

次世代校務環境”調達前”から “運用”まで見据えた全体設計を「共創」で支援~Round Table【谷正友氏×アライドテレシス×ソリトンシステムズ】

左からアライドテレシス・山中氏、福田氏、教育ICT政策支援機構・谷氏、ソリトンシステムズ・富本氏

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教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号

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