文部科学省は4月22日、「特別支援学校教諭の免許制度や教職課程、幼・小・中・高の教職課程における特別支援教育の在り方に係る方向性について」を公表した。
中央教育審議会の教員養成部会・教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループ特別支援教育作業部会における審議をまとめ、特別支援教育に関わる教員免許制度と教職課程の方向性を示した。障害の重度化・多様化が進む中、特別支援学校だけでなく、幼稚園・小学校・中学校・高校すべての教員が特別支援教育の基礎を身につける必要性が強調されている。
通常学級に在籍しながら特別な支援を必要とする児童生徒が増えている現状を踏まえ、「特別支援教育は特別支援学校だけのものではない」 という認識が示された。そのため、▼全教員が共通して学ぶべき内容の充実▼特別支援学校教員の専門性の高度化――の両面が求められている。
特に以下の内容を「共通に学ぶべき事項」として再整理する案が示された。▼障害のある子どもの理解▼合理的配慮の提供▼基礎的環境整備▼ICF(国際生活機能分類)を踏まえた支援の考え方▼自立活動の基礎理解▼医療・福祉との連携▼インクルーシブ教育システムの理念。これらは、通常学級の教員にも必須の知識として位置付けられる。
特別支援学校教員に求められる専門性を次の3層で整理している。① 全教員に共通する基礎的専門性(前記の「共通に学ぶべき事項」)② 障害種別や状態に応じた専門性③ 教科指導・学級経営などに関する専門性。
重複障害への対応や自立活動の専門的指導、医療的ケア児への理解、多職種連携、学校全体での支援体制構築など、特別支援学校教員には、複数領域にわたる専門性を備えた“総合的専門家”としての役割が求められる。
特別支援学校教員の免許取得状況に自治体間の差があることを課題として指摘。そのうえで、複数の障害領域の免許状取得を促す仕組み、大学院レベルでの高度専門性の育成など、免許制度の再構築が検討されている。
大学に対しては、理論と実践を往還するカリキュラム、デジタル教材・CBTを活用した学修、特別支援学校での実習の充実など、実践的な学びを強化する改革が求められる。
特別支援教育を「一部の専門家だけの領域」から、“すべての教員が担うべき基礎的専門性”へと位置づけ直す大きな転換点となる。今後、教職課程の再構築や免許制度の見直し、大学院レベルの専門性育成が進められ、特別支援教育の質向上が図られる見通しだ。