福岡市立草ヶ江小学校(児玉清孝校長)では、文部科学省「教育課程柔軟化サキドリ研究校」の指定を受けて、教科の学習や特別活動において、生成AIを児童の学びの伴走者として位置づけた実践を積み重ねている。
3年生の学級活動「わすれものゼロプロジェクト」では、進級に伴い持ち物や提出物が急増する「3年生の壁」に着目。忘れ物の原因や気づくタイミングは個々で異なる。そこで教員が一律に対策を示すのではなく、事前アンケートで得た客観的なデータをもとに、児童自身が自分の傾向に気付くように働きかけた。
本時では、児童が「誰と、どう学ぶか」を自ら選んで決める複線型の学習を取り入れた。教員が作成したカスタムAI「わすれものすっきりエージェント(Gem)」を、答えを教える存在ではなく気軽に相談できる相手として活用。児童は自分の忘れ物の傾向を伝え、個別最適化されたヒントを引き出した。AIの提案をそのまま受け入れるのではなく「これは今の自分にできるか?」と問い直し、ときにはAIに言い返す場面も見られた。

カスタムAIに相談する児童
カスタムAIとの対話に加えて、友達との対話からアイディアを共有しながら、児童は自分だけの「マイ・ルール」を主体的に決めた。忘れ物をなくすという結果だけを求めるのではなく、夏休み明けの生活リズムの変化に応じたプランづくりや、友達や家庭と連携してルールを見直したりするなどの考える過程も大切にした。最後に、児童は「ホップ・ステップ・ジャンプ」のルーブリックをもとに、自分の学びの過程をふり返った。

友達とマイ・ルールを共有する
これらの実践に共通するのは、生成AIを「正解を与える存在」ではなく、児童自身の意思決定を支える伴走者として位置付けている点だ。AIや友達という複数の伴走者が身近にいることで、児童は自分の課題を言葉にしやすくなり、試行錯誤しながら自ら調整する力を育んでいく。
今後も、生成AIの特性を児童自身が理解しながら、自律的な学びを支える存在として活用されていくことが期待される。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年10月26日号掲載