埼玉県久喜市(柿沼光夫教育長)は、GIGAスクール構想の先進自治体として「久喜市版『未来の教室』」を掲げ、市内の小中学校で生成AIを学びの伴走者と位置づけた授業づくりを進めている。
久喜小学校(青山里美校長)では、教科や学年を超えて、児童が生成AIとの対話を通して考えを深め、広げる実践が積み重ねられている。

生成AIとの対話の様子
6年生の体育「バスケットボール」の授業では、生成AIを「答えを与える存在」ではなく、気軽に相談できる学習パートナー「安西(AI)先生」として位置づけた。児童は自分やチームの課題を安西(AI)先生に伝えて、その助言を参考にチームでの練習に取り組んだ。ある児童は「シュートを打った後の手や指先の向きにポイントがある」という助言を参考に練習したところ、シュートの成功率が大きく高まったとふり返っている。
6年生の社会科「戦国時代」の学習では、生成AIで収集したデータをもとに、織田信長や豊臣秀吉になりきって答える対話型のカスタムAIを作成した。児童は「天下統一により大きく貢献したのはどちらか」という単元全体の問いについて、カスタムAIが演じる2人の武将にインタビューしながら、その回答から考えを整理していった。教科書の記述をノートにまとめるだけの学習ではなく、何度も自分の考えを生成AIにぶつけ、自分の考えを広げたり深めたりする姿が見られた。

友だちと学び合う児童の様子
4年生の総合的な学習の時間では、地域の祭りをテーマにした俳句カルタづくりに取り組んだ。語彙の少なさから表現に行き詰まっていた児童は、詠み込みたいキーワードを伝えて生成AIに複数の表現案を提案してもらい、その中から自分たちが表現したいニュアンスに近い言葉を選び取ることで、地域への思いを込めたカルタを完成させた。多様な選択肢を瞬時に示す生成AIを活用したことで、児童間の話し合いも活発になり、自分たちの表現に自信をもって活動を進める姿が見られた。
これらの実践に共通するのは、生成AIを「正解を教える存在」ではなく、児童の思考を広げ、深める伴走者として位置づけている点である。教師以外の伴走者が身近に増えることで、誰もが課題を言葉にしやすくなり、自ら考え、試行錯誤する時間が保障される。今後も、生成AIの特性や限界を児童自身が理解しながら、学びの伴走者として活用していくことが期待される。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載