東京ゲームショウ2026が9月17日から21日まで幕張メッセで開催され、国内外1000社超が出展。マウスコンピューターは、ゲーミングPC「G Tune」「NEXTGEAR」、クリエイター向け「DAIV」の3ブランドを軸に、eスポーツや教育、地域でのPC活用をテーマとしたステージイベントを通してPC活用の可能性を発信。
その中からeスポーツを早期から教育に取り入れたルネサンス高校のセッションと、eスポーツアスリートも含めてトップアスリートを支援するHPSCセンター長/JISS所長である久木留毅氏が登壇したセッションを紹介する。
全国7拠点で中高生800人がeスポーツコースに在籍しているルネサンス高校。同校の代表である橋本太郎氏(ブロードメディア㈱代表取締役社長)と同校卒業生であり現在は同校の経営にも携わる武安克典氏(博多キャンパスeスポーツコース担当)、加藤大智氏(名古屋eスポーツコース担当)、マウスコンピューターの金子覚氏(法人営業本部 本部長)が登壇してeスポーツ教育について討議した。

ルネサンス高校・橋本太郎代表と同校卒業生でもある博多キャンパスeスポーツコース担当武安氏、名古屋eスポーツコース担当加藤大智氏、マウスコンピューター金子氏が登壇
ルネサンス高校は、2006年に日本初の「株式会社立の高校」として設立。開校初日の生徒はわずか2人。しかし20年を経、現在は全国で3校を展開。複数のキャンパスや施設で累計9000~1万人の高校生が学ぶ学校へと成長した。
橋本代表は「開校当初から多様性を掲げていた。自分のリズムで学べる選択肢こそ、多様性の第一歩」と語る。
2018年、大阪校の生徒から「eスポーツというものがあるらしいのでゲーミングPCがほしい」という声が上がり、学校で10台のゲーミングPCを購入。教材となるゲームタイトルの著作権処理や許諾取得には膨大な時間を要したが、教育として成立する環境を整え、eスポーツコースを正式に設置。見栄えの良い設備は生徒を惹きつけ、初年度から多くの入学希望者が集まった。
eスポーツコースは面接指導(スクーリング)や特別活動には含まれず、単位認定はされない自由参加のオプションコースであるが、現在は全国7拠点で中高生800人が本コースに在籍。高校から競技を始めた生徒も多く、全国大会優勝は19回にのぼる。
eスポーツコースの核となるのは、「OODAループ学習」(観察→方向付け→決定→行動を高速で回す学習法)と臨床心理学に基づくメンタルトレーニングだ。OODAループ学習は、変化の激しい環境での状況判断・意思決定力の育成を目的としている。計画に時間をかけず、試行錯誤しながら即座に学び方を修正する点がPDCAと異なる。

eスポーツコース一期生として学んだ武安氏は「週2回の登校が楽しみだった。決勝大会に進出したときはチーム全員で大いに盛り上がった」と話す。授業4時間のうち3時間は選択したゲームタイトルのトレーニング。1時間はプログラミング、英会話、メンタルトレーニングなどだ。「ゲームしに来たのに他の授業もあるのか」と当時は感じたが、プログラミングを学んだことで視野が広がり、大学は情報系を選択した。
現在は同校の博多キャンパスeスポーツコースに所属しており、教えた生徒がステージゼロで優勝した際、嬉しさのあまり涙したと話した。
加藤氏は中学1年の夏から不登校で、高校進学後も半年後には通学ができなくなり、転校先を探したところ、大阪校のeスポーツコース開設を知り入学を決意。
入学直後に高校生大会へ出場し、1回戦敗退。しかし徐々に成績を残せるようになる。フランス・パリで開催された日本文化博覧会「Japan EXPO」では、フランスのプロのeスポーツ選手と壇上で交流戦を経験。「いきなりプロと対戦できるなんて、普通の高校生活ではありえない体験」と語る。授業については「メンタルトレーニングの授業が印象的だった。大会前のモチベーション管理を専門家から学び、競技にも日常にも役立った」と語る。
現在は名古屋eスポーツコースを担当している。高校3年次に講師へ誘われ、中等部の指導を開始。現在は中学生には成功体験を、高校生には自走力を促す指導を行っている。
橋本代表は、生徒の変化を象徴するエピソードを紹介。その年最後の授業の日、大阪校に集まって橋本氏を待っていた十数名の生徒が「生まれて初めて、学校に来るのが楽しい」と伝えてくれたという。
「ゲームばかりやって学校に行かなくなった」のではない。目的がないから学校に行かず、時間を持て余してゲームをしていただけ。目的ができれば、生徒は自ら学校へ戻ってくると語る。
同校eスポーツコースでは現在、多くの拠点でG TUNEを始めとするマウスコンピューターのゲーミングPCやモニターを採用している。
武安氏は「ハイスペックPCがなければ戦えない。環境が競技の土台になる」と語る。橋本代表も「ここ数年はほぼ一択。安定した品質と使い勝手が決め手」と評価する。
マウスコンピューターの金子氏は、「学校はPCの消耗が早く、更新タイミングも限られるため、最適な導入計画を提案している」と話す。同社では次の支援を提供している。▼24時間365日の電話応対 ▼技術診断チームによるトラブル対応 ▼ゲームタイトルのアップデートに合わせた最適スペック提案

学校には最適な導入計画を提案
先日、日本で開催されたアジア大会(愛知・名古屋)では、史上初のメダル獲得数であった。その躍進を支えているのが、トップアスリートを医科学・データの両面から支援するHPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)だ。本大会では、eスポーツアスリートの支援も同センターが担った。HPSCセンター長/JISS所長である久木留毅氏が登壇し、HPSCについて語った。
ハイパフォーマンススポーツとは、世界一を競う競技を対象に、総合的に医科学・データ分析・トレーニング支援を提供して競技力を最大化するための強化システムだ。五輪・パラリンピック、欧州クラブサッカー、米国プロスポーツなどが該当する。
HPSCは、国立スポーツ科学センター(JISS)を中核に、スポーツ医科学、情報面からトップアスリートを支援する日本の拠点として2001年の開所以来、メダル獲得数の増加にも寄与してきた。
HPSCでは、ハイスペックPCによるデータ解析、AIによるリアルタイム分析、VRを活用した競技団体向けトレーニングツールの開発、低酸素環境での持久力トレーニングなどを行っている。
2026年7月、HPSCは味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)イースト内に「HPSC ESPORTS LAB」を新設。eスポーツの国際競技力向上をスポーツ医・科学、情報面で支援するためだ。ラボは以下の3ゾーンで構成される。▼ウェルビーイングゾーン(睡眠・食事・リラックスなど)▼eスポーツゾーン(競技力向上のための計測・トレーニング)▼バーチャルスポーツゾーン(VR/AR/MRを活用した高度トレーニング)
脳活動測定、心拍数・バイタルデータ、アイトラッキングなどを用い、エビデンスに基づいて医科学的知見からの支援を行う。コミュニケーションの有無が競技力に影響することも研究で明らかになったという。
さらに2026年アジア競技大会(愛知・名古屋)に向け、名古屋とセントレアに「JSCサポート拠点」を設置。トレーニングやリカバリー、心理相談、最終調整をワンストップで実施。現地の拠点と連携してオンライン映像分析などによる支援も行った。eスポーツもその対象だ。
現在、eスポーツアスリート向け「トータルコンディショニングガイドブック」の制作を進めている。睡眠・水分補給・リラックス方法など科学的知見を国内に共有していく考えだ。
認知症予防にeスポーツが効果を示す研究もあり、ハイパフォーマンスの知見をeスポーツやライフパフォーマンスにつなげ、健康な社会づくりに貢献したいと語った。
マウスコンピューターでは「G TUNE」「NEXTGEAR」などのブランドでゲーミングPCを展開しており、国際競技にも耐えられる安定性が評価されている。
高校生eスポーツ大会「STAGE:0」では、競技用PCとしてG TUNEを提供。トラブルなく大会を終えた。教育市場での普及は、将来のトップ選手育成にも直結する。今後も高校・大学・専門学校のeスポーツ学科や部活動との連携を強化していく。
マウスコンピューターの軣秀樹社長は「今後は、ローカルで動くAIを活用できるPCがアスリート支援に必須になるのではないか。その際にはデータ活用・リアルタイム分析・競技力向上のために、ローカルAI対応PC『DAIV』が役立つ。HPSCの膨大なデータに基づく知見を活かし、健康管理に望ましいデジタル機器活用や各世代のアスリートを支えるラインナップを提案していきたい」と語った。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年10月26日号掲載