貧困層の高校生にプログラミング学習支援を行うNPO法人CLACKは東京都品川区五反田に新規拠点を開設した。2018年から運営する大阪拠点と同様にPCを無償で提供し、受講する教室への交通費も支給。授業料と教材費も無料となる。
■これまでに100名以上を支援
CLACKは「生まれ育った環境に関係なく、子どもが希望とワクワクを持てる社会」を目指し、大阪府を拠点として2018年より活動を開始。団体立ち上げから現在に至るまで、125名を継続的に支援している。
■貧困の連鎖を止めるために
経済的な理由で進学を諦めて就職する場合、知識やスキルが不足した状態では収入が低い職業や非正規での雇用に繋がりやすく、大人になっても貧困から抜け出せない。この「貧困の連鎖」を食い止められる最終ラインが高校生だという仮説に基づき、高校生に限定した支援をおこなっている。
<支援活動例>
【高校生への支援活動例①プログラミング体験会】
プログラミング体験会は、「プログラミングって難しそう」と思い込んでしまう高校生の先入観を取り払うために開催しているイベント。楽しいゲームを通じて、プログラミングやITに興味を持つきっかけづくりをサポートする。
CLACKオリジナルのカードゲーム「RPG(リアルプログラミングゲーム)」でプログラミングの仕組みを体感したり、小学生から楽しめるプログラミング教材「Scratch」でドローンを操作して課題に挑戦するなど、頭と体を使って楽しみながら、最新のプログラミング技術に触れる機会を提供する。また、他のNPO団体と連携して参加してくれた高校生を生活支援につなげるなど、地域と子供たちの橋渡し的な役割も担っている。
【高校生への支援活動例②Tech Runway】
3か月間にわたって週に2回、プログラミングの授業を提供。修了時に習得できるのは、簡単なゲームやサイトを自力で制作できるスキル。初心者が挫折しやすいポイントを踏まえて一人ひとりの学習をサポートする。オンラインのコミュニケーションツールにはSlackを利用。教室以外での学習で行き詰まったときに講師に質問・相談できる環境を整え、高校生の「自ら学ぶ力」に伴走する。
自立して生活するためには、プログラミング技術だけではなくキャリア形成に関する知識も重要。そこで、Tech Runwayの講師を務める現役エンジニアや大学生たちの実体験から、お金や生活に関する知識、仕事における問題の解決方法などを学んだり、IT系の企業を見学したりする機会を月2回提供。社会と関わるなかで将来のイメージを固め、具体的な目標に向かって努力する意欲を育成する。
【高校生への支援活動例③Tech Runway+】
Tech Runwayを修了した生徒が希望した場合、より専門的な知識を学べるプログラム。3か月間で今後のキャリアを見据えた実践的なプログラミング技術を身につける。修了後も継続して学習する力を構築するために、家庭学習を中心としたプログラムで自律学習能力を育成。教室に通うのは週1回だが、Slackからいつでも質問や相談ができる。
Tech Runway+では生徒同士で4人1組のチームを組み、お互いの学習計画や課題の進捗確認や、疑問の解決を協力しておこなうスクワッド制度を導入。チームで取り組むことで、スキルの習得とともに関係構築能力や問題解決能力が養われる。
<CLACK代表 平井大輝氏 コメント>
このたび東京・五反田にTech Runwayの3拠点目を開設する運びとなりました。これまで大阪では、貧困が原因で思うように学力を伸ばせず、将来に希望を持てなくなってしまっている高校生にたくさん関わってきました。彼らはTech Runwayに参加したことで少しずつ自信をつけ、諦めていた進学を果たしたり、大学の情報系学科で好成績をとったり、IT企業でインターンをしたりと可能性を広げていってくれています。また「自分のような高校生を救いたい」と考えて今度は教える側として関わってくれたり、母校で体験談を話してくれたりする修了生もいます。このような循環を大阪だけでなく、東京で困難を抱える高校生に対して届けていきます。さらに全国へ支援を届けるべく、まずは東京、大阪でそれぞれ着実に継続できる形をつくり、他の都市圏でも展開可能なモデルにしていく所存です。