学校アルバム製作の日の出は7月4日、同社の開発した卒業アルバム「Webum(ウェーバム)システム」」(商標登録・実用新案登録第3234975号)が、文京区立第九中学校で採用されたと発表。教育現場での業務負担増が問題視される中、多様な時代に合わせるべく従来のようなハードブックとして残るアルバムを継承しつつ、一部は電子アルバムとして生徒一人ひとりが好きな写真を選択したものが端末に保存されるシステムだ。
校舎・校歌・職員・クラスなど共通のページはいままで通り従来の卒業アルバムの形式にて納品される。それに加え学校行事の写真・スナップ写真などはクラウド上にアップし、生徒一人ひとりが写真を選び、Web上でのデータアルバムを作成する。従来のハードブックアルバム、そしてWeb上のマイアルバムを融合したものとなる。
生徒自身が好きな写真を選ぶので、十人十色のデータアルバムが作成できる(別途フォトブック購入も可)。また、完成したデータアルバムはpdf形式でダウンロードすれば、遠方に住んでいる親類や友達にも見せることができる。
毎年、卒業シーズンになると、職員や業者等の卒業アルバムの製作担当者が、毎年の写真の中から印象的な写真を選択するなどして卒業アルバムを作成する。このとき、個々の生徒が写っているスナップ写真では、写真を選択する場合に特定の生徒の掲載回数が偏らないように、各生徒の写っている枚数を各写真の中からカウントする作業が必要になっている。こうした負担の軽減や、「こちらの子は10枚写っているのに、うちの子は2枚しか写っていない!」というようなクレームを生まないためにも本システムは有効だ。
2022年度に卒業した生徒たちは、様々な場面で新型コロナウイルスの制限を受けた中学校生活となった。数々の行事が中止になったり、延期になったり。そのため、特に1年生の時はプロのカメラマンが撮影した写真の枚数が多くなかった。
そこで学校で教員が撮影した写真もクラウド上にアップして同時に選べるようにした。おかげで写真は十分な枚数になった。
プロのカメラマンが行事の時に訪れただけでは撮れないような普段の生き生きとした生徒の写真や校内でのイベントの写真もたくさん採用することができたという。
また、校外での行事では生徒が様々な場所で活動することが多く、カメラマン1人では到底対応しきれない。そんなときも、教員と分担してできるだけ多くの生徒の写真を撮影できるようにした。
生徒の卒業を間近に控えた3月には、同社の社員数名が第九中学校に出向き、本システムの概要について生徒に説明。デモ版を実際に操作してもらう際には個別で対応できるようにした。数多くの写真を目にした生徒からは驚きや感動の声が上がったという。
<山本康太教諭(第3学年主任、ICTリーダー)のコメント>
これまでの卒業アルバム作成では、写真業者さんが持ってきた案を教員で名簿と照らし合わせてチェックする作業が一般的でした。特定の生徒に偏りがないようにしたり、写っていない生徒がいないようにするために、何度もチェックしていました。写真業者さんとのやりとりも何度も繰り返すことになり、繁忙期になるとかなり忙しいものでした。また、様々なもののDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む現代の世の中で、卒業アルバムは電子化しないのだろうかと考えていました。そんな中で株式会社日の出の浅沼さんから「こんなアルバムシステムができあがりました」と伺い、学年教員と話し合い、採用を決めました。3月にデモ操作をした際には、1時間かけてもすべてを見終えることのできない写真の量に驚きを隠せない生徒もいたのが印象的でした。卒業後、完成したデータアルバムを嬉しそうに見せに来る卒業生がいました。従来のハードカバー形式はやはりサインをもらったりするうえで不可欠であるため、+αで十人十色のデータアルバムを作ることのできるこの「Webumシステム」は革新的なものでした。
<森川大地教諭(特別支援学級主任、特別支援教育コーディネーター)>
特別支援学級は交流の行事と6組の行事に参加するため、通常学級と比べてより多くの行事に参加しています。また、支援学級の生徒の多くは個々のこだわりを強くもっています。そのため担任が卒業アルバムを作成するうえで、大きく異なる生徒個々の思い出とどう向き合うかという悩みがありました。しかし、Webumシステムの活用により、生徒達は自分の心に残った思い出の写真をより多く残すことができました。また、写真によって視覚的に思い出を残すことは、思い出を振り返ろうとする支援学級の生徒にとって効果的な視覚的支援になると考えられます。
<文京区立第九中学校卒業生のコメント>