放課後NPOアフタースクールは12月20日、日本の小学生の誰もが放課後の時間を自由で豊かに過ごせる社会を目指し、放課後の居場所において現場運営を担うすべての人材の充実と学校施設活用を解決策として提案する提言書をまとめたと発表した。
本提言は、国に向けての提案であると同時に、小学生の放課後事業を担う地方自治体に向けて、今後ますます放課後施策が推進されることに期待して作成されたもの。12月、文部科学省およびこども家庭庁へ提出された。
放課後NPOアフタースクールが実施した独自調査にて、放課後に友達と遊ぶのは「週1回以下」と答えた子が7割以上という結果が出た。一方で同調査から「もっと友達と遊びたい」という声が8割近くに上り、自由に遊べない子供たちの現状が改めて浮き彫りに。
学童待機児童数は16,825人(2023年5月時点)、放課後の居場所が質・量ともに不足し、結果として保護者が働き方を諦める社会問題「小1の壁」など、子育て世帯を取り巻く放課後の課題は深刻。
量的な不足の解消も喫緊の課題とされる中、現状は十分なスペースが設けられないまま、子供を受け入れざるを得ず、すし詰め状態となっている施設も見受けられる。これは活動内における重大な怪我や事故を引き起こすリスクを高める要因にもなっており、放課後児童クラブにおける事故報告件数は年々増加しています。そしてなにより、十分な環境整備や人員配置がなされていない状況では、子供たち一人ひとりへの個別配慮が不十分となり、安全性の観点から活動の制約も大きくなることによってますます子供の自由な過ごし方から遠ざかっている。
放課後の居場所に求められる機能が多様化する中で、専門性の高い職員配置は必要不可欠です。現役世代も長期的に勤務できる適正な処遇とすること、子供への向き合い、専門性やスキルの向上ができる余裕のある職員配置基準の設定を提案する。
保護者の就労要件なく、全児童が自由に参加できる放課後の居場所は子供にも保護者にもメリットが大きい一方で国の補助が薄いため自治体間格差が広がるおそれもある。全児童対象で一定日数以上運営する放課後事業への補助創設を提案する。
学校の施設利用調整や管理を教員が担うことには限界があり、体制の見直しを求めると共に、管理負担を軽減する動線改修・鍵設置、タイムシェアのための可動式家具等への補助拡大も合わせて提案する。
放課後の時間の学校施設利用については、「新・放課後子ども総合プラン」にもあるように、国としてもかねてより推進しているが、活用の必要性について学校現場に十分浸透していない現状が見受けられる。活用における子供へのメリットや好事例を教育委員会や学校に対して継続的に発信していくことが必要。