生徒会発案のポータルサイトで情報を集約・発信
茨城県守谷市立愛宕中学校では、生徒会役員の発案により、Googleサイトを活用した「生徒会ポータルサイト」を立ち上げ、情報の集約や、自らの取組の社会への発信の場として運用している。
5月30日に行われた生徒総会では、ポータルサイトに掲載された資料(生徒会や各委員会の活動計画など)を事前にダウンロードし、各自が端末で確認しながら議事を進行。
活動計画の承認は、Googleフォームを活用してリアルタイムに採決を行った。
生徒会ポータルサイトには以下の機能を設け、生徒が主体的により良い学校づくりに取り組んでいる。
同校技術科の田中浩之教諭は、Googleサイトを活用した「オンライン技術室」を開設し、個別最適な学びを推進。本実践は一社・日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)主催の「ICT夢コンテスト」で優良賞を受賞。2024年度教育DX推進フォーラムで報告した。
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中学校技術分野の授業時間は3年間で87.5時間とされ、4領域を学習しながら課題を解決する力を育成する必要がある。しかし週1時間の授業では学習内容の定着が難しく、学習・作業進度の違いによる不安を抱える生徒も少なくなかった。
そこで、Googleサイトを活用した「オンライン技術室」を開設。技術科を初めて学ぶ中学1年生向けに、授業のふり返りや参考資料をいつでも・どこでも・何度でも確認できる環境を整備した。
サイトの主な機能は、①ワークシートや工具の使い方を掲載した参考資料、②授業の版書記録を残す授業内容のまとめ、③基本的な知識を確認できるオンライン問題集、④みんなで選ぶグッドモデルの4つ。
参考動画を見ながら工具の練習をしたり、前時の内容をふり返るなど、生徒が学習進度や作業工程に応じて必要な資料を選択・確認し、自ら学びを調整する姿が見られた。
Googleフォームによるオンライン問題集は、回答後にフィードバック機能で詳しい解説を学習できる。学期末テストにおいてオンライン問題集を活用した生徒とそうでない生徒の平均点の差は28.1点となり、学習活動に取り組む機会を充実させ知識・技能の習得を促すことができた。
「みんなで選ぶグッドモデル」では、先輩のワークシートや共同編集したワークシート、班で選出したグッドモデルを共有。生徒はこれを参考に作品をより工夫するようになり、多様な視点や考え方を育むことにつながった。
他者の作品やワークシートを参照し、学習の個性化が進んだ
本サイトは70.1%の生徒に有効活用され、特に解説動画を活用した生徒は84.2%、授業のまとめを利用した生徒は50%にのぼった。生徒は学習進度や技能レベルに応じて個別最適に学んでいる。
さらに技術の授業への不安が「全くない」と答えた割合は9%増加。中学校で初めて学ぶ技術科において十分な成果が発揮されたと考えている。
また共同編集したワークシートの共有などにより、他者と協力して学習することを肯定的に捉えた生徒は93.3%に達し、協働的な学びの場面でより主体的に取り組む姿が見られるようになった。
本実践により一斉指導の時間を減らし個別指導の時間を増やすことができた。またサイトを作成・更新する過程で、教員が自身の授業をふり返り改善するきっかけになり、授業力向上につながったと実感している。