教科書の構造を理解することで「探究力」が高まる──。これは公益財団法人教科書研究センター主催「教科書を使って探究学習コンクール」第3回ウェビナーに登壇した教員の言葉だ。
教科書研究センターは5月11日、オンラインでウェビナー「探究的な学習を深める教科書活用の可能性」第3回を開催。今回のテーマは「教科書の構造理解と探究学習について」である。
本ウェビナーは、同センター創立50周年企画「広げよう深めよう『教科書を使って探究学習』コンクール」の一環として定期的に実施されている。この日登壇したのは、津森平教諭(島根大学教育学部附属義務教育学校)、吉田康祐教諭(静岡市立城北小学校)。進行役は、同センター特別研究員である佐藤和紀准教授(信州大学教育学部)が務めた。
佐藤准教授は冒頭、「なぜ教科書の構造理解が探究と結びつくのか。次期学習指導要領では『深い学び』の実装が求められておりそのキーワードは『つなげて考える』である。教科書からの情報収集や読解を自己調整的に行えることは探究の基盤になる。今日は実践からその点を明らかにしたい」と主旨を説明した。
教科書には「めあて」「ポイント」「学習問題」「見方・考え方」「学び方」などが見開きで配置されており、各教科書会社は、グラフやタイトル、資料、出典などの細部に工夫を凝らしている。それらの関係性を読み解く力=教科書を読む力は情報と情報を結び付ける力でもある。
このような構造を子供自身が理解したうえで教科書を読み解くことで、自ら学び、課題を見つける力が育まれる。教科書を読み解けるようになると「教科書ってすごい」「楽しい」と感じ、問いが生まれ、探究学習の基盤になる、と述べた。

教科書の図やグラフを読み解くことで子供自ら新たな課題を見つけていく(吉田教諭提示資料より)
津森教諭は、6年算数「分数×分数」の単元で、なぜ割り算で解決できるのかを理解することを目的に、図と説明のどこが「対応」しているのか、何と何が「同じ」なのかなど、教科書紙面を丁寧に読み解く指導を行った。教科書をつなげて読めるようになると、問題文の捉え方や式との関連付けができ、子供自身で課題発見が可能になるという。
理科では、予想を立てることが難しい子に対して、教科書を「ガイド」として活用。関連付けて説明することで、教科書から問いや課題を見つけられるようになり、読み方が身につくと、自分のペースで学べるようになると述べた。
吉田教諭は現在、チーム担任制のもと社会と国語を担当し、両教科で探究的な学習を推進している。目指すのは「汎用的な学び方の獲得」である。
社会科では、オリエンテーションで教科書構造を示し、資料と本文を結び付けて読み取る力を育成。「世界に歩みだす日本」では、子供たちが資料から多様な問いを見出し、自ら調べて理解を深めた。教科書をしっかり読めるようになると、自ら課題を見つけられるようになると報告した。
同センターの新津事務局長・副館長は「教科書は日本のどこにいても同じ内容を学べる基盤。近年は『自学自習できる教科書』への改善も進んでいる。『探究』が重視される次期学習指導要領において、教科書の構造理解が探究の基盤になる点を広めたい」とまとめた。
同センターは「探究学習がつなぐ小中高における子供主体の学び(仮)」をテーマに山梨県教育委員会と共催で8月21日にウェビナーを開催。山梨県立笛吹高等学校、小中一貫校南アルプス市立白根御勅使中学校、北杜市立長坂小学校が登壇。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年5月25日号掲載