AIで生成した講師の動画と人間による講師の動画を受講した場合、受講状況に大きな差がないことが、データグリッドとドコモgaccoおよびデータミックスが20代から50代の男女73人を対象に実施した調査から明らかとなった。
■AI動画と講師動画の2つのグループを比較・分析
調査はAIで生成した講師動画を視聴するグループと、人間による講師動画を視聴するグループの2つに分け、それぞれにドコモgaccoが提供するコース「ビジネスマナー」と「異文化コミュニケーション」の動画を視聴し、受講結果を比較・分析した。
■AI動画の方が視聴完了する割合が高い場合も
それによると、AI動画とリアル動画の両方において、動画が進むにつれて視聴完了ユーザーの割合が低下する傾向にあるが、AI動画とリアル動画を比較すると、AI動画の方が視聴完了ユーザーの割合が高い場合もあることが分かった。
■AI動画はスキップせずに聴講
また、動画をスキップした回数をヒストグラムにして割合を確認したところ、「ビジネスマナー」「異文化コミュニケーション」どちらの動画でも、AI動画の方がスキップした回数が0回の割合が高く、スキップせずに視聴している。
■テストの結果では両者に差は見られない
動画視聴後に行ったテストで、各動画の課題提出者を対象に、平均値と標準偏差を計算したところ、「ビジネスマナー」においてわずかにリアル動画を視聴したグループの方が高かったものの、大きな差はないことがわかった。
■6割がAI動画を自然に感じる
また、学習後に行ったアンケートで、AIにより作成された動画の感想を聞いたところ、AI動画を視聴したグループのうち6割が「とても自然」「まあ自然」と回答した。「とても不自然」と回答したのは3%程度だった。
<調査概要>
調査方法:動画視聴状況のモニタリングおよびアンケート
調査対象:20代から50代の男女73人
調査期間:2022年2月28日(月)10時〜2022年3月6日(日)
調査機関:株式会社データミックス
<今後の展望>
データグリッドとドコモgaccoは、2020年度よりAIを活用した学習動画の作成サービスを提供してきたが、その学習効果や視聴・習得への影響に不安を感じるという声が寄せられていた。今回の調査ではAIで生成した講師動画と人が講師の動画を実際に視聴してもらい、比較することで、AI動画の方が視聴完了率が高く、習得度への影響もほとんどないことがわかった。また、学習後のアンケートでは映像や音声の機械的な印象や違和感など、改良の余地も発見された一方、AIによる動画の作成は講師による説明のわかりやすさのバラつきを抑えることが期待できる。