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司書教諭が関わることで高校生1人あたりの年間貸出冊数が5倍に増加 清教学園中・高等学校

2022年7月31日

司書教諭が関わることで高校生1人あたりの年間貸出冊数が5倍に増加することが、清教学園中・高等学校が文部科学省の委託事業として行った「学校図書館の活性化に向けた調査研究」から明らかとなった。生徒主体のテーマに設定することで、探究学習に対する意欲が向上し、学校図書館の活性化につながっていることが伺える。

 


■高校生の半数が1か月に1冊も本を読まない状況を受けて

66回学校読書調査概要によると、全国の高校生のうち1か月間に本を1冊も読まなかった生徒の割合は49.8%となっている。文部科学省はこうした背景から「学校図書館の活性化に向けた調査研究委託事業」を実施。不読率の改善、自主・自発的な学習活動といった課題を学校図書館の取組により改善向上していくことが研究事業の目的となる。

 


■図書館の活用が、どのように探究学習に貢献するのか

清教学園は2021年度の事業を文科省より受託し、調査研究を実施。「探究学習と図書館活用のギャップを埋める授業実践の検討」をテーマに研究を行った。さらに、実施した授業実践と図書館の活用が、どのように探究学習に貢献したのかを検証した。

 


■高校生が図書館を活用できない理由を聞き取り調査

はじめに、どのような理由で高校生・高校教員が図書館を活用できないのかを明らかにするため、事前の聞き取り調査を実施。探究学習を履修した既卒生への取材では「なぜ図書館を使った/使わなかったのか」「授業設計が自分達の図書館活用にどのように影響したか」などを調査した。

 


■2つの仮説を立てて検証を実施

この事前調査の結果をもとに以下の2つの仮説を立てた。

【仮説1】生徒主体のテーマ設定であるほど探究学習に対する学習意欲が向上し、生徒は図書館を活用するのではないか

【仮説2(仮説1)に基づき授業を設計し、さらに図書館スタッフから図書探索の支援を受ければ、図書館の利用統計データにも変化が現れるのではないか

さらに、この仮説を検証すべく、カリキュラム改定と授業改善施策を高校2年生に対して実施した。

 


■高2生と高1生の各種データを比較

カリキュラム改定と授業改善を実施し、1年間の課程を終えた。その結果を検証する方法として、カリキュラム改訂・授業改善施策を実施した高2生と、カリキュラムを改訂しなかった高1生、それぞれの各種データ(授業評価アンケート、利用統計、参考文献図書冊数など)を比較した。

 


■生徒主体のテーマ設定で学習意欲が向上

仮説1については、生徒主体のテーマ設定で研究を行う高校2年生の方が、教員主体のテーマ設定で研究を行う高校1年生よりも「研究に興味を持って取り組むことができたか」「研究テーマに関する知識の理解」などのアンケート設問で、よりポジティブな結果となり、学習意欲の向上が示された。

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■司書教諭が関わることで貸出冊数が増加

仮説2については、生徒主体のテーマ設定で研究を行った高2生の方が高1生よりも図書館を活用して学んでいた。中でも司書教諭が授業を担当したクラスでは、70%以上の生徒が 3 冊以上の図書資料を参考にし、さらに 20%近くが「自分の研究に必用不可欠な図書資料があった」と回答。また、高2学年全体の一人当たり年間貸出冊数が過去のデータと比べて約5倍に向上した。


<清教学園中・高等学校 考察>

以上の結果から、カリキュラムを改訂し、生徒主体のテーマ設定で学んだ高校2年生の方が、教員主体のテーマ設定で研究を行った高校1年生よりも学習意欲が高い傾向にあることがわかった。また、学習意欲の向上は図書館の利用統計にも顕著に表れている。専門家が書いた図書に生徒が自ら手を伸ばし、複数の文献を読みながら自ら研究を進めていたこともまた、学習意欲の表れと捉える。

さらに、生徒の研究活動を下支えする存在として、司書・司書教諭が関わっていたことも、良い結果に繋がった要因となる。同じ高2生のデータでも、司書教諭が授業を担当したか否かで図書館活用に差が出ており、「図書館は頼れる」という生徒からの信頼感の表れと考えられる。

 

清教学園中・高等学校

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