沖縄県立コザ高等学校は、Libryが提供するデジタル教材プラットフォーム「Libry（以下 リブリー）」を用いて、生物の学習で得られるデータを活用した学習評価を実施。定量的な評価を行いながら、教員による学習履歴データに基づく適切なサポートをすることによって、生徒の自身の評価に対する納得度や意識を高め、主体的な学びを促進することが可能であることが実証された。
調査は2023年４月〜2024年３月、同校１〜３年生226人を対象に実施した。
コザ高等学校では、生物の観点別学習状況の評価（観点別評価）において、評価の３観点のうち、「知識・技能」と「主体的に学習に取り組む態度」の２観点について、リブリーの学習履歴データを活用している。
主体的に学習に取り組む態度については、国立教育政策研究所『学習評価の在り方ハンドブック』に基づき、評価の２軸となる一方の「粘り強い取り組みを行おうとする側面」を、問題を演習した量、問題を演習した時間で、もう一方の「自らの学習を調整しようとする側面」を、取り組んだ問題の最終的な正答率、間違えた問題を解き直した回数、１問あたりの平均演習回数でそれぞれ捉え、あらかじめ設定した評価規準をもとに数値化して、最終的な評価を決定した。
生徒に対しては、評価規準を年度初めに明示した上で、定期的にフィードバックや個人面談などを行った。2023年度の２学期以降は、月に１回、生徒が自身の学習進度や取り組み状況がわかる詳細なデータを確認できる機会を設け、暫定的な評価をリアルタイムで把握できるようにした。こうしたサポートを行うことによって、生徒が自身の現状や課題を認識し、何をすべきかを考え、主体的に学習に取り組むよう促した。
調査対象者に対するアンケートにおいて、「今の評価の計算方法は、あなたの主体的に学ぶ態度を適切に表現できていると思いますか？」という質問に対する５段階評価で、57.1％が「とてもそう思う」、28.3％が「そう思う」と、合わせて85.4％が肯定的に回答。８割以上の生徒が、学習データを活用した主体的に学習に取り組む態度の評価が適切だと感じていることがわかった。
また、「評価方法を意識して学習に取り組みましたか？」という質問に対して、56.6％が「とてもそう思う」、22.6％が「そう思う」と、合わせて79.2％が肯定的に回答。約８割の生徒が、評価方法を意識して主体的に学習に取り組んでいたと捉えることができる。
上記のアンケートは、2023年度の１学期末（2023年７月）と学年末（2024年３月）に、同じ質問項目を設けて実施。その２時点を比較したところ、継続的な定量評価や教員のサポートの工夫によって、生徒の学習評価に対する納得度や、学習に対する意欲が調査期間内で明確に高まったことがわかった。
「今の評価の計算方法は、あなたの主体的に学ぶ態度を適切に表現できていると思いますか？」という質問に対して、「とてもそう思う」もしくは「そう思う」と肯定的な回答をした生徒の割合は、１学期末には63.5％だったところ、学年末には85.4％と上昇。そのうち、「とてもそう思う」と回答した生徒は、１学期末には28.9％でしたが、学期末には57.1％と大きく増加した。
また、「評価方法を意識して学習に取り組みましたか？」という質問に対して、「とてもそう思う」もしくは「そう思う」と肯定的な回答をした生徒の割合は、１学期末に40.4％だったところ、学年末には79.2％と上昇。そのうち、「とてもそう思う」と回答した生徒は、１学期には19.3％でしたが、学期末には56.6％と飛躍的に増加した。
同校では2024年度以降も本取り組みを継続し、効果検証を実施するという。よりよい学習評価のあり方や、さらに効果的な手法を模索しながら改善を図るとしている。
