紫外線レベルが近年増加傾向にある中、多くの人が「紫外線が強くなっている」という体感がありながらも、「目の日焼け」(紫外線による目への影響)に対する理解が不十分であることが、(一財)日本気象協会とジョンソン・エンド・ジョンソンが共同で実施した調査から明らかになった。調査は全国の10代~50代の男女1123人を対象に6月24日から26日、インターネットを通じて行われた。
気象庁によると、外出自粛を促す紫外線が「非常に強い」レベル(UVインデックス)8以上の日が30年余りで倍増するなど紫外線は増加傾向にある。今回、実施っした調査によると、ここ数年で紫外線量が増えている実感があるかという質問では「大きく増えたと感じる」(20.2%)、「少し増えたと感じる」(31.0%)と紫外線量の増加を体感する人が過半数(51.2%)にのぼることが分かった。
コンタクトレンズには紫外線カット性能を備えているものがあるが、コンタクトレンズを選ぶ上では「つけ心地の良さ」や「価格」が重視される傾向にある。「紫外線カット性能」を意識して選択している人は1割しかいなかった。また、「将来の目の健康のために何をすればいいのかわからない」、「なかなか行動に移せない」など迷っている人が約7割弱(66.2%)いることが浮き彫りになった。
紫外線対策をしている人は約8割(77.4%)に上り、「日焼け止めクリーム」は約半数(47.0%)、「日傘」(33.9%)や「帽子やサンバイザー」(33.6%)は3人に1人など、紫外線対策アイテムが定着しつつある一方、「長袖の衣類やアームカバー」(25.6%)や「サングラス」(22.4%)を取り入れている人が4人に1人いることが分かった。
また「日焼け止めヘアスプレー」(10.7%)、「日焼け止めパウダー」(7.0%)、「UVアフターケアシャンプー」(3.3%)など、最新の紫外線対策アイテムを取り入れている人が一定数おり、選択の多様化がうかがえる。「UVカット性能付きのコンタクトレンズ」については、紫外線対策として取り入れている人は4.5%、新しく取り入れたいと考えている人も3.8%であり認知度は低いことがわかる。
「目の日焼け」という言葉を「知っている」と回答した人は約4割(41.9%)。紫外線による目への影響として知っている症状を聞いたところ、「白内障の原因になる可能性がある」は 23.9%の回答があったものの、「瞼裂斑や翼状片などの目の病気につながる可能性がある」は 14.4%に留まり、「知らない」と回答した人は半数を超えた(51.4%)。紫外線量が増えている実感はあっても、紫外線が目に及ぼす影響についてまでは理解が不十分であることがうかがえる。
サングラスや帽子に対して、躊躇する場面は「通勤・通学中」と回答した人が約3割にのぼる。レジャーやスポーツ中などは、気にせずにサングラスや防止を着用できても、通勤や通学時に躊躇するなど「目の日焼け」対策が取られていない傾向が見られた。
「目のケア」として現在行っていることは「サングラスや帽子で紫外線対策」が約25%となり、「UVカット性能付きのコンタクトレンズ」は約8%に過ぎなかった。一方、「将来に向けて目を守る取組」については4人に3人(73.9%)が重要と回答。必要性は感じていることがわかったものの、66.2%が「何をすればいいかわからない」「なかなか行動に移せない」と感じていることが浮き彫りになった。さらに、肌のケア(33.2%)や髪のケア(15.4%)と比べ、アンチエイジングを意識して目の紫外線対策をする人は12.6%で少ないことが明らかになった。
【金沢医科大学眼科学講座主任教授・佐々木洋氏コメント】
「目は朝から夕方まで1年を通して紫外線を浴びていて、紫外線による目の疾患は急性障害と慢性障害に分けられます。一日中屋外にいた時など強い紫外線を短時間浴びると目が充血する急性障害は時間の経過とともに治ります。一方、繰り返し強い紫外線を浴びると、慢性的な障害になる可能性があります。目の紫外線対策として、帽子、紫外線をカットするサングラス、UVカットコンタクトレンズやメガネなど複数アイテムを組み合わせて日々取り入れましょう。UVカットコンタクトレンズはサングラスやメガネの隙間から入る紫外線が目に吸収されるのをブロックするため併用するのが効果的。紫外線が目に与える影響を正しく理解し、予防策をとることが大切です」
【気象予報士・安齊理沙氏コメント】
「気象庁が観測を開始した1990年以降、紫外線量は年々増えています。外出自粛を促すほどの紫外線が『非常に強い』レベルの日も多くなっていることから、紫外線対策はより一層重点的に行わなければなりません。つい忘れがちになってしまう『目の日焼け』対策についても意識的に対応していきたいですね」