福島県いわき市の県立勿来工業高等学校で9月30日、2年生を対象とした建設DX体験授業が実施された。授業を担当したのは、建設DXサービスの開発を行うスパイダープラスと、地元いわき市の三浦電気工事。
スパイダープラスが推進する「未来人材プロジェクト」の一環としての実施。建設業界で担い手不足が課題となる中、生徒らが実際の仕事に近い環境で建設業の仕事や施工管理の役割を体験することで、仕事への理解を深め、将来の進路を考えるきっかけとすることが狙いだ。

未来人材プロジェクトは、学校・地域企業・スパイダープラスの三者が連携し、学生が授業の中で建設の仕事を実際に体験する取組。施工管理アプリ「SPIDER+」の教育機関向け無償ライセンス「アカデミックプラン」を活用し、工事の品質・安全・進捗を管理する「施工管理」の仕事を実践的に学ぶ。今回は専門学校や工業高校での開催に続くもので、東北地方では初の実施となった。
授業では、三浦電気工事が学校の敷地内に工事現場に見立てた約25㎡の実習棟を3棟設置した。資材の提供や実際の施工工程に基づく授業設計も同社が担い、通常は半年から1年かかる工事を1日に凝縮して体験するプログラムを用意した。参加した2年生の18人は6人ずつ3つの班に分かれ、各班に同社の社員2〜3人がついた。
生徒たちは班内で「施工する側」と「施工管理する側」に役割を分担。施工管理側は前述の「SPIDER+」を実際に操作し、図面と照合しながら各工程を写真で記録する実践的な業務を体験した。生徒たちは作業前の危険予知活動(KY)から始まり、資材搬入、配線やダウンライトの取り付け、さらには絶縁抵抗測定などの各種試験に至るまで、全15工程にわたる本格的な作業に取り組んだ。8月に第二種電気工事士試験を受験した生徒たちにとって、学んだ知識を現場に近い環境で実践する貴重な場となった。
参加した生徒からは、「机の上で学ぶのとは違い、天井に向けて両腕が常に浮いた状態で作業する難しさを感じた」「立っている時間の長さに驚いた」といった声が上がった。また、「三浦電気工事の人たちが楽しく作業できる雰囲気をずっと保ってくれたおかげで、疲れたり戸惑ったりしながらも楽しく実践できた」と、充実感をにじませる感想も聞かれた。
同校電気科の木村勝人教諭は、「現場を模した環境で、実際の現場で使われているツールに触れる機会は、通常のカリキュラムだけでは用意しにくい」とその意義を強調する。「現役の人材が未来の人材を育てる場に立ち会え、教員として感無量だ」と、生徒たちのいきいきとした姿に目を細めた。当日は他学年の生徒や会津などからの教育関係者も見学に訪れ、地域全体での関心の高さをうかがわせた。