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オンラインセミナー「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の意義や課題を学ぶ~不使用表示に関する10の類型について 食の信頼向上をめざす会

2022年5月23日

消費者庁が3月30日(水)に出した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」では、食品添加物の不使用表示に関して10の類型が示された。「食の信頼向上をめざす会」ではガイドラインの意義などを学ぶオンラインセミナーを5月11日(水)に開催した。司会は東京大学名誉教授の唐木英明氏。講師は(一社)日本食品添加物協会専務理事・上田要一氏とコープ神戸元理事・伊藤潤子氏。

 


「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」について

(一社)日本食品添加物協会専務理事・上田要一氏

2019年度に設置された消費者庁による「食品添加物表示制度に関する検討会」では、表示制度を広く知らしめるため「無添加表示」のガイドラインの策定や「人工甘味料」「合成着色料」などの表示を削除するよう取りまとめられた。

 


■学校でも無添加表示で誤った情報を伝えるケースも

食品添加物については偏った情報が氾濫しており、業者が無添加表示をすることで販売戦略を展開したり、学校教育でも誤った情報を伝えるなど誤認の拡大につながっている。検討会のメンバーである上田氏からは「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」で示された食品添加物の不使用表示の10類型について具体例をあげながら紹介された。

 


■消費者のニーズがあるので不使用表示を認めてほしいとする事業者も

ガイドラインを作成する際には、事業者や消費者団体へ不使用表示に関してヒアリングが行われた。食品メーカーなどの事業者からは、添加物の不使用表示について「安全性について誤認させる不使用表示は望ましくない」という意見が出る一方、「消費者ニーズがあるので既に実績のある表示は認めてほしい」「企業努力で不使用を達成した場合には不使用表示をしても良いのでは」などの意見も見られた。

 


■消費者団体からは不使用表示の規制を求める声が

消費者団体へのヒアリングでは「不使用表示は安全性の誤認につながるので禁止すべき」「化学調味料のように法令にない用語を用いることを禁止すべき」など不使用表示について規制を求める意見が多く聞かれた。

 


<ガイドラインで示された不使用表示に関する10類型>

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」で示された10類型は以下の通り。

 


類型1:単なる「無添加」の表示
=「無添加」と表示されているだけで、対象が不明確なケース。対象が示されていないため消費者が内容物を誤認する恐れがある。

 


類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
=「人工」「合成」「化学」「天然」などの適切でない用語が用いられている場合で、実際のものより優良と誤認させる恐れがある。

 


類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
=マヨネーズに「乳化剤不使用」と表示するなど、法令で添加物の使用が認められていない食品に対して表示するケース。

 


類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
=○○無添加と表示しながら、同一機能の他の添加物を使用しているケース。酸化防止剤不使用と表示しながら、同一機能のアルゴンを使用している例などが該当する。

食パンでは人工甘味料不使用と表示しながら、甘味料のステビアが入っているケースも


類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
=○○無添加と表示しながら、それと同一機能、類似機能を有する原材料を使用しているケース。例えば「乳化剤不使用。卵黄加工品を使用」という表示では卵黄加工品が乳化剤に位置付けられる。

 


類型6:健康、安全と関連付ける表示
=「着色料を使用していないので体にやさしい」など、体に良いことの理由として無添加や不使用を表示しているケース。

 


類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
=「化学調味料不使用なので素材の風味を損ねません」など、おいしい理由として無添加や不使用を表示しているケース。

「○○は使用していないので、お早めにお召し上がりください」という表示は賞味期限の表示と混同しやすい


類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
=保存料が使用されない錠剤サプリメントで「無添加」を強調するなど、通常は添加物が使用されていない商品にまで「添加物不使用」を強調するケース。

錠剤サプリメントは通常、保存料は使用されないのに無添加を強調


類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(または使用されていないことが確認できない)食品への表示
=最終製品に「保存料不使用」の表示をしているが原材料の段階で保存料を使用しているケース。

 


類型 10:過度に強調された表示
=場所を変えて複数回「〇〇を使用していない」と表示したり、大きな文字や目立つ色を使用して「〇〇不使用」と表示するケースとなる。他の添加物が使用されているのに「〇〇は一切、不使用」など過度に強調する例があたる。

 


「ガイドライン10類型から見えることと課題~どう受け止めて どう生かしていく?」

コープ神戸元理事・伊藤潤子氏

食品への表示は何度も反復されて、目にすることで意識に刷り込まれ、自分でも気づかないうちに意識が変わってしまう可能性があると伊藤氏は語る。今回、ガイドラインで10類型が示されたが、そこから事業者が不使用表示をするねらいなどを考える。

 


■あえて不使用と表示するのは事実表示ではない

類型3(食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示)、類型4(同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示)、類型5(同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示)においては「それが事実なら食品添加物が使用されていないことが分かるから表示しても良いのでは」という意見を耳にする。しかし、法律上で使用不可となっているものを、あえて不使用と表示することは事実表示ではない。さらに、同機能を持つ食品添加物や原材料を使用しているのに、同じ機能を持つ食品添加物「不使用」と表示するのは消費者を欺くことになるのではと指摘する。

原材料で使用しているのに同じ機能を持つ食品添加物を「不使用」と表示するのは消費者をだますことになる


■食品添加物の表示は健康や美味しさとは関係ない

また、類型6(健康、安全と関連付ける表示)、類型7(健康、安全以外と関連付ける表示)において、食品添加物が不使用だから体に良い、おいしいなどを表示するのは、食品添加物は安全ではないと言っていることになるので、安全性への疑いの伝達になりかねない。科学的評価を得て、規定された食品添加物の安全性に疑いがある時は表示で訴えるのではなく、国の担当窓口に申し出るべきだとする。

食品添加物の安全性に疑いがある場合は国の担当窓口へ申し出を


長年にわたり染み付いた食品添加物は危険という思い

このガイドラインの10類型から見えてくるのは、「不使用」表示には表示者が販売促進につなげたいとする強い意図がある。売り上げを伸ばしたいという思いから不使用表示に至ったことが考えられる。また、「不使用」表示の背景には、消費者が食品添加物に対して持っているイメージが変わらないことがあげられる。

消費者が持つ食品添加物のイメージを変えることが求められる


■消費者へのアンケートでも「安全でないと思われるもの」の上位に

消費者へのアンケートでも「安全でないと思われるもの」「避けたいもの」「心配なもの」で長年にわたり上位に選ばれ続けている。日本食品添加物協会が実施したアンケートでも「○○無添加・不使用」と表示された食品は50%の人が「安全と思う」と回答しており、「〇〇無添加・不使用」と表示された商品を約6割の消費者が「とてもよく買う」と回答している。

 


■食品安全を守る社会体制が変わったことを伝えるのが課題に

食品添加物のイメージが変わらない背景には、食を取り巻く環境が大きく変化したにも関わらず、消費者の意識が更新できなかったことがあげられる。食品安全を守る社会体制が整ってきたことは、しっかりと消費者に伝えることが今後の課題となる。さらに、難しい言葉でなく、誰にでも分かるように簡潔に伝えることにチャレンジしてほしいとする。

 

食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(PDF)

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