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ユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念して和食の魅力を紹介「1204 和食セッション~次世代に繋ぐ和食の集い~」

2023年12月12日

「和食」が2013年12月4日にユネスコ無形文化遺産に登録されてから今年で10年を迎えた。(一社)和食文化国民会議は「和食」の価値や魅力を伝えることを目的に、ユネスコ無形文化遺産登録10周年記念イベントとして「1204 和食セッション」~次世代に繋ぐ和食の集い~を12月4日(月)に都内で開催。「和食と健康シンポジウム:講演」と「体験イベント」の2部構成で進められた。

 


【第1部】


<和食と健康シンポジウム:講演>


『和食が心身の健康に及ぼす影響』

東北大学大学院医学系研究科名誉教授 辻一郎氏


■食習慣と健康寿命との関連を明かす

辻氏は和食の特徴として、次の4点をあげる。①多様で新鮮な食材で素材の味わいを活用する調理技術が発達している、②一汁三菜を基本とする食事スタイルなどバランスが良く、健康的な食生活が送れる、③季節の花や葉を料理にあしらうなど自然の美しさを表現している、④年中行事と密接に関わった行事食などで家族や地域の絆を深める。

講演では和食の「健康的な食生活が送れる」という点について着目し、健康な人を対象にアンケートや健診などを通じて長期間にわたり追跡調査を実施。どのような食事をしている人が元気で長生きするかなど、食習慣と健康寿命との関連について明らかにした。


■緑茶を摂取することで死亡リスクが軽減

40歳から79歳の国民健康保険加入者約5万人を対象に、生活習慣などに関するアンケートと追跡調査を実施。その結果、1日に多くの緑茶を摂取する人ほど、さまざまな死因において死亡リスクが軽減しているという。また、65歳以上の人を対象に、緑茶の摂取状況と生活状態を調査した結果、緑茶を15杯以上摂取する人は要介護状態になるリスクが大きく軽減されることが分かった。

緑茶の摂取が認知症予防に効果があるのは、緑茶に含まれるカテキンとテアニンに原因がある。カテキンは認知症の発生に関与するβ—アミロイドの脳内凝集を抑制する働きがあり、動物を使った実験でもカテキンを投与することで認知機能の改善が認められた。新茶・玉露・抹茶に多く含まれるテアニンは神経細胞を保護するため、服用することで認知機能の改善が報告された。


■循環器疾患や認知症の予防につながる日本食

米飯やみそ汁、魚類、野菜、海藻、緑茶などの摂取が多いものを日本食パターンとして20年にわたって追跡調査を実施。その結果、日本食パターンを食べている人は、総死亡リスクが約1割減少。循環器疾患死亡リスクにいたっては3割近くも減少した。また、高齢者にいたっては要介護発生リスクが日本食パターンだと2割以上も減少した。

日本食パターンでは要介護リスクが低減


■再び増加しつつある塩分摂取量が問題に

辻氏は日本食の弱点として食塩摂取が多いことをあげる。食塩を摂取することで血圧が上昇し、循環器疾患の発症につながる。これまで日本人の食塩摂取量は減少が続いていたが、2019年頃から横ばい・増加に転じてきた。その要因として家庭で調理する機会が減り、外食や中食により塩分を摂取していることが挙げられる。健康を保つためには日本食の良さを生かしつつ塩分の摂取を抑えることが求められる。

 


『健康に良い「食」と和食の関係性』

医学研究所北野病院理事長/京都大学名誉教授 稲垣暢也氏


■元気な老後を迎えるために

日本の平均寿命の推移を見てみると、戦前は男女ともに50歳前後だったが、2021年には男性81.5歳、女性87.6歳と世界一の長寿国となっている。このように平均寿命が延びた背景には「抗生物質の発見」「栄養の向上」「衛生環境の改善」「健康診断の実施」などがある。しかし、平均寿命が延びる一方で、元気に体が動かせる健康寿命は2016年時点で男性72.1歳、女性74.8歳であり、寝たきりとなる高齢者が多い。そのため健康寿命の延伸が、これからの日本の課題と稲垣氏は語る。

日本の死亡率の1位はガンだが、2位の心疾患と3位の脳血管疾患は血管の老化が大きく影響している。血管の老化を促進する要因として、糖尿病、脂質異常、高血圧、肥満、喫煙など、さまざまな生活習慣病が挙げられる。これらの生活習慣病を防ぐためには食事や運動が重要なポイントとなる。

生活習慣病の予防には食事と運動がポイント


■小太りの状態でも糖尿病になりやすい日本人

糖尿病になると脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるほか網膜症で失明する人も多い。日本の糖尿病患者が増えてきた要因として、アメリカなどでは糖尿病になる人の多くが肥満だが、日本人は「やせ型」でも糖尿病になりやすいとされる。すべての年代において男性のBMI(肥満指数)は戦後から増加を続けており、小太りの体型が目立つようになった。狩猟民族である欧米人はインスリンの分泌が良好だが、農耕民族である日本人はインスリンの分泌が欧米人の約半分のため、小太りの状態でも糖尿病になる人が多いという。

日本人の小太り化が進んだ原因として、戦後の日本の食生活から炭水化物が大幅に減少し、脂質が4倍近くにまで増加したことが考えられる。日本人は体質的に脂肪や砂糖の取りすぎによる悪影響を受けやすいため、白人と同質の食事を摂った場合、糖尿病を発症する危険が高まる。糖尿病の発症を防ぐためには昔の日本の食事をモデルにして、うま味の再評価と子供の頃からの食習慣がカギとなる。


■日本食は脂肪肝指数が低く抑えられる

京都大学大学院医学研究科では滋賀県長浜市との共同事業で約1万人の健康調査を長期にわたって実施。15品目の食品について週に何回食べているかを調査。摂取頻度に関連性のある食品を「日本食パターン」「洋食パターン」「漬物」「菓子類」にグループ分けを行った。肝臓にたまっている脂肪を調べた結果、豆腐料理や魚料理を多く摂取する日本食パターンの傾向がある人は脂肪肝指数が低く、卵料理や肉料理を摂取する洋食パターンの傾向がある人は脂肪肝指数が高いことが明らかとなった。

1975年頃の日本食が最も健康に良いとされるが、1975年の日本人の食事内容を日本食モデル、2010年のアメリカ人の食事内容を欧米食モデルとしてマウスを用いて実験を行った。その結果、欧米食と比べて日本食はエネルギー摂取量や体重が増加しにくいことが分かった。さらに欧米食のマウスと比べて日本食のマウスは脂肪肝が起こりにくかった。


■高齢者は体重減少や筋肉量の減少に注意

65歳以上の人の要介護となった原因を見てみると、「認知症」「転倒・骨折」「高齢による衰弱」「関節疾患」など老年症候群関連が51.9%にのぼる。この背景にはフレイル(虚弱)やサルコペニアが密接に関係している。フレイル(虚弱)とは要支援・要介護となる手前の状態。フレイルの状態になると体重が減少し、わけもなく疲れたりする。サルコペニアは筋肉が減少することで人間の筋肉量は30代以降、毎年12%ずつ減少する。年を重ねると筋肉量や筋力が低下し、それにより運動量が低下、食欲も低下することで、さらに筋肉量や筋力が低下するという悪循環に陥ることになる。

50代までは生活習慣病にならないようメタボリックシンドロームに注意をする必要があるが、60代半ばからは低栄養に陥らないようギアチェンジをする必要がある」と稲垣氏は語る。サルコペニアやフレイルを予防するためにはたんぱく質を多めに摂取し、運動を組み合わせることが効果的。バランスの良い日本食パターンを摂ることでサルコペニアやフレイルを予防することが期待される。

 


<パネルディスカッション>

講演を行った辻一郎氏と稲垣暢也氏にコーディネーターとして和食文化国民会議の伏木亨会長が加わり、「和食の健康価値と可能性」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。

パネルディスカッションの様子


―個々の食材から食を考えるのではなく、パターンから食が健康に影響を与える影響を考えることが大切ということだが、どうしてパターンから食事を捉えようとしたのか

「食事を『栄養素』『食品』『パターン』の3つから分析した場合、『栄養素』や『食品』から食事を調べても予測した結果と一致しないことがある。それが食事を『パターン』で捉えると、ほぼ結果が一致する。そのため食事をパターンで捉えることが望ましいのではないか。また、健康に良いとされる地中海食を食べる若者が減っており、イタリアやギリシャでは不安を感じている人も多いが、和食も優れた食文化が失われないよう若者に伝えていく必要がある」

 


―高齢者の糖尿病が大きな問題となっているが、どのような点に気を付ければ良いのか

稲垣「高齢者の34人に1人は糖尿病の恐れがある。糖尿病の患者が若い時は食事制限などを行うが、高齢者になると低栄養に注意する必要がある。そのギアチェンジをいつ行うかが難しい。高齢者が糖尿病になると食事制限と低栄養の二律背反となるので、常にリスクを背負って病気と向き合うことになる。どちらの方が身体にメリットがあるか考えてギアを切り替えなければいけない。筋肉量の減少や握力の減少が切り替えの目安となるが、そうした兆候を見逃さないことが大事。75歳を超えると気づかないうちに体重が減少したり、筋肉量が減ったりするので注意してほしい」

 


―日本人は肥満でなくても糖尿病になりやすいということだが、その理由は

稲垣「日本人は体質的にインスリンの分泌が少ないため肥満でなくても糖尿病になる恐れがある。日本人はインスリンの分泌が低いが、それは欧米人と比べて太る能力がないといえる。欧米人は太って体に脂肪をため込んでいるうちは糖尿病にならないが、日本人は小太りになると、すぐに内蔵脂肪をためこんで糖尿病になるので気を付けなければいけない」

 


―海外から見ても和食は健康的な食事とされるが、その根拠はどこから来ているか

「フランス人は飽和脂肪酸が豊富に含まれる食事を摂っているが、心臓病の死亡率が低いためフレンチパラドックスという言葉がある。同様に塩分が高くても循環器疾患のリスクが減る和食はジャパンパラドックスと呼べるのではないか。長野県の塩分摂取量は高めだが平均寿命は長い。それは野沢菜など野菜の摂取量が多いからであり、塩分摂取のリスクよりも野菜を摂取するメリットの方が上回る。今後は塩分の摂取量は減らしつつ、野菜の摂取量を増やすのが望ましい食事のあり方になるのではないか」

 


【第2部】


<体験イベント>

 第2部は「『和食』を支える基礎調味料と飲み物」をテーマに「砂糖」「塩」「酢」「醤油」「日本酒」「日本茶」の6つのブースを設置。セミナーやさまざまな体験を通して、来場者に向けて和食に使われる調味料などの魅力を示した。

「砂糖」ブース(日本精糖)では「料理の基本さしすせそ~お砂糖を知ろう」などの定員制セミナーを開催。サトウキビやテンサイなどの原材料を精製して、一般的な砂糖や強い甘みの三温糖などを作る工程を紹介。

「塩」ブース(塩事業センター)では「塩の味くらべ」体験として2種類の塩を実際に味わって、その違いを比べたほか、「ひとさじの塩」体験では来場者が2種類の塩を同じスプーンで測り比べて違いを体験。「塩のつくり方」などもパネルで展示された。

「酢」ブース(Mizkan Partners)では、お酢博士による「酢の力」のセミナーと「利き酢体験」を実施。「利き酢体験」では来場者が純りんご酢や純米酢など6種類の酢をなめて、その違いを体験した。

酢ブースのセミナー

「醤油」ブース(キッコーマン)では、来場者が御用蔵しょうゆを使って煎餅焼きを体験。しょうゆの香ばしい香りや引き出された旨みを焼きたての煎餅で確かめた。また、「しょうゆ圧搾実演」では「もろみ」を布で包み、しょうゆを搾り出す「圧搾」の工程を体験。「御用蔵若もろみ」の搾りたてのしょうゆを楽しんだ。

「日本酒」ブース(日本酒造組合中央会)では、セミナーで「フルーティーなタイプ」「熟成タイプ」「軽快でなめらかなタイプ」「コクのあるタイプ」など4種類の日本酒の香りや味わいなどの違いを体験。また、唎き酒として様々な種類の日本酒の飲み比べが行われた。

「日本茶」ブース(伊藤園)ではスプレードライ、ティーバック、水出し、湯冷ましの4種類の日本茶の淹れ方の違いを体験した。

日本茶ブースでは日本茶の淹れ方を紹介

 

一般社団法人和食文化国民会議


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