テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消を目指すNPO法人Waffleは、6月13日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025(通称:骨太の方針)」において、Waffleが提言する「生成AI時代におけるジェンダー平等政策」について明記されたと発表した。これにより、2021年から5年連続で、政府の重要政策に、Waffleが継続的に提言してきたテクノロジー分野のジェンダーギャップ解消に向けた取り組みが盛り込まれることとなった。
生成AIの急速な普及により、AI人材需要が急激に拡大する一方で、AI開発チームの多様性不足によりジェンダーバイアス問題が深刻化している。技術開発における女性参画は、未来の社会の質を左右する重要課題であり、多様な視点による技術開発こそが、公平で包摂的なAI社会の実現の鍵となる。
また、地方を含む全国で女子中高生向けに提供してきた「Waffle Camp ホームタウン」の5年間の実施を通じて明らかになった、地方での教育機会格差や、デジタル教育格差が懸念される中、「女性がAI社会を作る側になる」ための早期対策が急務となっている。
このような背景から、同法人は生成AI時代に特化したジェンダー平等政策の実現に向けた提言を行った。
技術開発における女性参画を「未来の社会の質向上」の観点で位置づけ、女性がAI社会を作る側になるための施策として、世代別・段階別の体系的なアプローチを提言した。
今後AIやビッグデータなどの高度IT技術職の需要急拡大へ対応し、女子中高生への情報工学分野の進学の後押しを継続
STEM分野の教育課程に、ジェンダーを含む社会的分析科目の組み込み
(例)工学部学生に対するジェンダー・倫理、技術の社会的影響を考察する授業の提供
AI分野のジェンダーバイアス防止体制(第2章・ページ19)
「AIの倫理的かつ公平な社会実装に向け、制度設計段階から倫理・多様性の視点を強化し、ジェンダーバイアス防止体制と人材育成を推進する。」
理工系分野での女性活躍推進(第3章・ページ36)
「AI、IT分野を始め理工系分野の大学・高専生、教員等に占める女性割合の向上に向け、最先端の科学技術を学ぶ機会や理工系の女性ロールモデルに触れる機会を早い段階から継続的に提供するなど、女子中高生の関心を醸成し、意欲・能力を伸長するための産学官・地域一体となった取組及び大学上位職への女性登用を促進する。」
同法人は、今回の政策明記を受け、政府や自治体、教育機関、企業との連携を一層強化し、「女性がAI社会を作る側になる」社会実現に向けた具体的施策の実現に取り組む。特に、AI分野におけるジェンダー視点でのガイドライン策定支援や、生成AI時代に対応した女性デジタル人材育成プログラムの開発に積極的に貢献するとしている。