茨城大学理学部、愛媛大学理学部、鹿児島大学理学部、埼玉大学理学部、静岡大学理学部、信州大学理学部、富山大学理学部、山形大学理学部、山口大学理学部の9大学理学部は12月1日、「9大学理学部連携協定」を締結した。
本協定は、各大学が有する多様な資源を相互に活用し合い、教育にとどまらず、研究や社会共創など幅広い分野で相互補完と相互強化を図るもの。全国規模で新たなモデルを創出し、社会へ積極的に発信するとしている。
3月に国立大学協会より公表された「わが国の将来を担う国立大学の新たな将来像」では、国立大学には個々の力の積算にとどまらず、集団として次元の高い「国立大学システム」として機能することが求められている。社会の変革を牽引するためには、期待される役割と有する機能を、個々の大学のみならず総体として最大限に発揮することが不可欠であるとされる。
今回の協定締結は、その「国立大学システム」を具現化する広域連携の一つ。9大学理学部は、それぞれの設置目的、立地、歴史などに基づき多様な役割を担ってきたが、異なる特徴を有する大学が連携することにより、単独では得られない相乗効果を創出し、総体としての機能発現を目指す。
本協定の締結に先立ち、9大学理学部関係者による「第１回カリキュラム・教育等の連携に関する連絡協議会」を10月1日に開催した。協議会では、正課カリキュラムに関する教育連携の一例として、9大学理学部で教育に携わる総勢600人を超える教員を高度人材バンクと位置づけ、各大学で開講が困難となった科目などに対し、他大学から非常勤講師を派遣しやすくする仕組みの構築が進められている。
また、正課カリキュラム以外に関する教育連携の一例として、「プログラミングランクチャレンジ（仮称）」の実施を計画している。本取組は、共通のオンライン教材を用いて学生が自宅等から学習を進め、その進捗状況や到達度を9大学の学生が競い合うもの。オンライン学習という場所を選ばない教育システムの特長を最大限に活かし、9つの県にまたがる多様な学生を対象とした取組として展開する。さらに、優秀な成果を挙げた学生や大学を表彰する仕組みを設けることで、学習意欲を高めるとともに、理学分野における新しい学びのモデルを社会へ発信する。
今後は、こうした教育面での取組を起点として、オンラインや遠隔システムを積極的に活用し、地理的制約を超えた広域連携の特色を一層強化する。これにより、研究面では分野横断的な共同研究や設備・人材の共同利用の促進、社会共創の分野では地域社会や産業界と連携した実践的な活動への展開などが期待される。教育・研究・社会連携を有機的に結び付け、全国規模での大学連携の新たなモデル事業を創出していくことを目指すとしている。
