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教育ICT

ICT活用で授業改善 全国平均を上回る学力へ<山江村教育委員会教育長・藤本誠一氏>

2020年3月2日
第64回教育委員会対象セミナー・福岡

2020年2月6日、福岡市内で第64回教育委員会対象セミナーを開催し、約130名が参会した。

教員の指導力向上にソフト面の強化が貢献

山江村教育委員会教育長・藤本誠一氏

山江村教育委員会教育長・藤本誠一氏

10年間にわたり「学校教育のICT活用」に取り組み、学力向上や過疎化の阻止など様々な成果を上げている山江村(小学校2校、中学校1校)の取組について、藤本教育長が語った。

2011年、「山江村の教育情報化推進体制~10年構想」を立ち上げ、10年継続することで根付くと考えて力を入れた。電子黒板3台の活用からスタートし、以後、タブレットPC、無線LAN、デジタルコンテンツやドリル、ICT支援員などの整備を計画的に推進するとともに、その都度新たな取組も取り入れて教育環境や支援を強化している。

タブレットPCやiPadの台数も増え、現在0・75人につき1台の整備率であるが、整備率を上げるために整備したわけではなく、こんな取組をしたい、と考えて整備しているうちに整備率が上がった。ふり返ると、機器をそろえれば良いわけではなく、教員の指導力を支援するソフト面の強化も同時進行で必要であると感じている。

授業で対話的協働的な活用を行うこと、発表活動を促すこと、指導者用デジタル教科書活用を目的にタブレットPCを配備。校外学習での端末活用やデジタルドリルの活用も進めた。徐々に取組内容を増やしたこともあり、教員の指導力も無理なく向上した。今年度はデジタルドリルを自宅でも取り組めるように持ち帰り用iPadを整備。現在は金曜日に持ち帰っている。児童の弱点がわかり、指導に生かしている。さらに個人思考を深めるため、思考ツールを独自に整理して授業に活用しているところだ。

GIGAスクール構想もあり、次年度はネットワーク環境を現在の100MBから1GBに強化する。

電子黒板は更新時に70型に変更。小規模校には短焦点型プロジェクターとした。壁面はもちろん、机上や床にも投影できるので、皆で囲みながら話し合うなど便利に使っている。

AI英会話ドリルは中学校で導入し、1年間活用したところ、話す力・聞く力が向上しており、次年度は小学校でも活用を開始する。英語検定の受検料も無料としており、英検3級取得を条件に中学校で語学研修を村費で実施していることから、英語学習に頑張る子供が増えている。

Web会議システムによる遠隔授業では、小学校同士、小中連携などで実施。長野県喬木村と全学年で学期に1回ずつ交流しており、次年度は授業交流も行いたいと考えている。

プログラミング教育は2年前から企業連携でScratchと人型ロボットのプログラミングに取り組んでいる。

3・4年の郷土学習向けに山江版デジタル教科書を制作。内容は特色ある地域の取組などで、村費で各校に常駐しているICT支援員を中心に制作している。デジタル版は更新が容易だ。

学力向上効果が明らかに出たのは3年目。小学校の全国学力学習状況調査の結果が、全国1位と同等以上になった。子供たちの自己肯定感の高さも際立っている。

児童生徒のアンケート調査からは「キーボードが早くなった」「持ち帰り学習が楽しい」という学びに対する回答のほか、「将来はAIを搭載したトラクターを使いたい」などの声も出てきた。

働き方改革に向けて、Windows Logon認証方式を設定してテレワークも可能とした。教職員勤務時間管理システムも導入。勤務時間終了後は留守番電話となるようにした。小中学校部活動を社会体育へ移行するなど各種取り組んでいる。

様々な子育て支援とICT教育で県外からの移住が増え、年少人口が増えており、3人兄弟率は35%と全国平均を大きく上回った。

今後5年間で、何もしなければ村の児童生徒数は4人減る。アクションを起こし続けることで子育て世代の移住をさらに増やしていきたい。すでに次年度、4人の子供の村外からの入学が決まっている。

GIGAスクール構想という新たな施策も出た。1人1台活用は国家意思であるが「入れて終わり」ではもったいない。1人1台を新たな学びへの挑戦のきっかけとしてほしい。軌道に乗るまでに苦労はあるが、成果は明らかだ。【講師】山江村教育委員会教育長・藤本誠一氏

【第64回教育委員会対象セミナー・福岡:2020年2月6日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年3月2日号掲載

  1. 鹿児島大学大学院准教授・山本朋弘氏
  2. 長崎県教育庁義務教育課・坂本隆典氏
  3. 山江村教育委員会教育長・藤本誠一氏
  4. 福岡市立東光中学校校長・髙木徹氏
  5. 岩田学園岩田中学校・高等学校進路指導部・ICT主任・八木真也氏
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