このコロナ禍は人々の生活や意識に様々な変化をもたらしましたが、改めて修学旅行の教育的意義が確認されたことは重要です。このことは、文部科学省から再三にわたって「修学旅行は大事な教育活動であるから、中止ではなく何らかの方法で実施を」という異例ともいえる通知が出されたことが実証しています。
一方、困難な課題も生じています。各方面で深刻な人手不足と諸物価の高騰が起こり、学校からは、旅行会社の入札辞退、宿泊場所やバス・タクシーの確保困難、あらゆる料金の高騰、訪問地での大混雑、等々という悲鳴が私たちに届いてきます。その結果、修学旅行はなるべく安く(安)、近い場所で(近)、短い日程(短)で実施すれば良いのでは、という安易な傾向が生まれてきました。これに学校・教員の働き方改革も絡み、益々消極的で形式的な修学旅行になってしまう恐れがあります。
修学旅行は国民のほぼすべてが経験し、旅の原点でもある優れた教育文化で、他の学校行事と全く異なるのは、学校単独では決して実施できず、多方面の方々に支えられているという点です。
私たちの協会は「修学旅行の灯は消さない」ことを信条にしています。各方面の皆様方と協力して課題を解決し、充実した修学旅行を目指して、本年も努力していきます。
教育家庭新聞 新春特別号 2024年1月1日号掲載