デジタル教科書に関連した文部科学大臣の答弁が論議を呼んでいるが、一部にミスリードも広がっているようだ。
「デジタル教科書は小学校低学年・中学年では認めるべきではない」と誤読している人もいるかもしれないが
正しくは「すべてデジタル教科書」は、である。
両者には大きな違いがある、という点を強調したい。
まず、教科書については次から選択できるように、法令改正が議論されている。
▼すべてデジタル教科書 ▼デジタル教科書+紙の教科書のハイブリッド ▼紙の教科書
文部部科学大臣の答弁は、この第一の選択肢に係るものである。
上記2番目の選択肢である「デジタルな形態も含めたハイブリッドの教科書」を否定しているわけではない。
この発端となった4月24日の衆議院議会「学校教育法等の一部を改正する法律案」の審議を視聴した。
制度改正についての文部科学省の説明は、わかりやすかったと思う。
質疑応答も当初、概ね賛成と穏便に進んでいた。
「デジタルにすることそのものが目的ではないと理解できた」「これまでも慎重に取り組んできたことに感謝する」と、
「デジタル教科書」について理解をもっているように思えた。
しかし「実は理解していないのではないか」という疑念が生じる質問もあった。
それが次の質問だ。
「すべてがデジタル教科書、については、何年以上どの教科でなら認めるお考えなのか、文部科学大臣の現段階のお考えをお聞きしたい」
教科書の形態の選択肢の一つであるにも関わらず、なぜこのような質問をしたのか、不要な質問だったのではないか。
さらに文部科学大臣の、この質問に対する次の回答が、世間を騒がせることになった。
「発達段階や教科特性踏まえて限定的に認めうる学年教科を大臣指針のなかで示す」
「有識者で議論中だが、実態をふまえると、低学年や中学年では慎重に考えるべきという意見が多い。
現時点では『すべてがデジタル教科書』については小学校4年以下では認めるべきではなく、
国語・社会・道徳では認めるべきではないと考えている」
「すべてがデジタル教科書」という選択肢の一つに限った答弁であり、
重ねて記すが「デジタル+紙の教科書」の選択肢を否定しているわけではない。
しかし続いて「国語・社会・道徳」の教科を示したのは好ましくなかった。
それぞれについて、今まさに各教科WGで討議中の内容であるためだ。
さらに次の質疑の対する答弁が、誤解をさらに拡大させるものとなったように思う。
「(今後まとめられる)大臣指針に、どれほどの拘束力があるのか」
それに対する答弁が次だ。
「検定申請可能な教科は文部科学大臣が選択する(よって大臣指針には拘束力がある)、
『すべてがデジタルの教科書』について検定を受け付けないと記せばそれは反映される」
「威力がある」ことを示すための答弁だろうが、
「検定を受け付けない」という言葉は強い印象を与える。
そのため「デジタル一切否定」のようなイメージをもつ人もいたようだ。
重ねて記すが「デジタルな形態を含む教科書」を否定しているわけではない。
とはいえ、多様な特性をもつ子供のなかには「紙」の教科書がまったく役に立たない場合もあるだろう。
「誰一人取り残さない」ためにも、各WGで詳細を議論しているという面からも、
学年や教科について、現時点で断定すべきではなかったと思う。 【編集部・20260428】