次期学習指導要領に向けて各教科等ワーキンググループ(WG)において討議が進んでおり、学習内容を削減・再整理。仮称教科や既存教科を含め、各教科で構造を作り替える大改革が進んでいる。
教育課程企画特別部会は2026年夏頃までに最終取りまとめを行い、年末には中教審答申が取りまとめられる予定。次期学習指導要領は2026年度内に告示、2030年度以降に順次実施予定だ。
「考えるための技法」見直し
4月15日、第6回総合的な学習・探究の時間WG(主査=黒上晴夫・関西大学教授)では質の高い探究の実現に向けた方策を検討。
課題が自分ごととして洗練されていくことを前提に、大きく「テーマ探究」、「マイ探究(個人探究)」の用語を用いる案を検討。
テーマ探究は興味・関心を「広げる」「見つける」学び、マイ探究は興味・関心を「深める」学びと整理。探究の成果に係る論述・レポート・プレゼン・作品制作等の「外化」の機会を適切に設ける案について検討。複数委員が「テーマ探究/マイ探究」という言葉の‘誤読’を懸念。「広げる/深める」の対比はミスリードではという指摘もあった。
また「節目としての探究は”卒論化”を招く」「学校行事を探究化として扱う際の”条件”を明確にする必要がある」など、多くの指摘があった。「探究の形態を二項対立で捉えるのではなく、子供の主体性と教師の指導性が往還する‘学びのデザイン’として再整理する必要がある」という方向性は一致。それをいかに誤解なく伝えることができるかについて討議した。
「考えるための技法」の見直しについては概ね高評価。現在、総合的な学習の時間に位置付けられている「考えるための技法」を、探究のプロセスの質を高める具体的な手立ての一つとして見直しを図り「発散」「収束」の観点から分類を検討した。
「総合実習(仮称)」で学びの成果を発揮
第8回情報・技術WG(主査=堀田龍也教授・東京学芸大学副学長)は4月16日に開催。次期学習指導要領で新設される「情報技術(仮称)」及び「中学校 情報・技術科(仮称)」のうち、後者の中核となる「総合実習(仮称)」の内容・方向性が示された。
情報を基盤とした生産技術(仮称)は、次の4つの内容で構成。▼材料と加工(仮称) ▼生物育成(仮称) ▼エネルギー変換(仮称) ▼総合実習(仮称)
このうち総合実習(仮称)は、義務教育段階から、さまざまな技術がどのように組み合わされて機能しているのかを理解・体験する時間として位置付け、情報・技術科(仮称)で育成した力を、「つくる」活動を通して、外化する機会とする。
具体的には次の項目が案として出されている。▼技術を組み合わせる原理と仕組み(仮称) ▼情報技術と生産技術とを組み合わせた問題解決(仮称) ▼社会における情報技術や生産技術の吟味と活用(仮称)
「情報技術と生産技術を統合して防災システムのモデルを製作する」「情報技術と生産技術を統合して設定した課題を解決するロボット技術のモデルを製作する」などの学習活動が例示された。
課題は授業時間の確保である。他領域の問題解決時間の一部を総合実習に振り替える案などが議論された。
小学校~高校を6分野で体系化
第9回算数・数学WG(小谷元子・国立研究開発法人理化学研究所領域総括)が4月17日に開催。次期学習指導要領に向けた「とりまとめ骨子案」が初めて提示。小学校算数~高校数学Ⅰまでを共通の6分野で体系化する方向が示された。6分野は次。▼数と式 ▼図形 ▼変化と関係 ▼データと確からしさ ▼論証 ▼社会を読み解く数学(新設)
中学校では新たに「数学ガイダンス(仮称)」を導入。これにより数学の全体像や社会との関係を概観して小中接続を強化。数学を学ぶ意義の理解を図る。
高校は数学A・B・Cを統合。内容を再整理する。中学・高校で数学的推論・論証(証明)を強化する。
小学校の教科名「算数」については、数学とする、もしくは新名称とする、現行維持の3案が提示されている。
社会や日常生活との接続を明確化
4月13日、第8回理科WG(主査=古村孝志・東京大学地震科学研究所所長)を開催。小学校に「理科と日常生活(仮称)」が新設される。エネルギー・環境問題など、既存の特定分野に収まらない社会課題について6学年すべてで取り扱うことを想定している。
中学校では理科の全体像・学ぶ意義・社会との接続を明確にするため「科学ガイダンス」を導入する案が出ている。
ローマ字入力の前倒しを討議
4月10日、第8回国語WG(主査=島田康行・筑波大学教授)を実施。話や文章の機能を踏まえた整理について討議。委員は議論のたたき台として「話や文章の機能(仮称)」を案として提示。次の5つの機能に整理した。▼事実や知識の整理と理解 ▼考えや主張の理由付けと吟味 ▼思いや経験の表出と想像 ▼協働による深化や合意 ▼伝統的な言語文化の継承と創造
「読む・書く・話す聞く」を一体で扱う方向性で、説明文を読む→解説を書く→発表する、を一つの「機能」として学びを進めやすくする方向性だ。
また、文字入力スキルが学習全体の基盤となることから、ローマ字入力の前倒しについても討議。小学校2年から扱うべきであるという意見も複数出た。今後の骨子案が注目される。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号掲載