東京都足立区立第九中学校(佐藤豊校長)の3年生約180人はオンラインを活用してバーチャルな旅をする「リモート夢旅体験」を3月12日(金)に体験。国内2か所(京都、沖縄)、海外5か所(台湾、ロスアンジェルス、ロンドンオーストラリア、タイ)と教室をZoomでつないで観光地などを次々と訪問した。
■教室を飛行機の機内に見立て旅行を体験
「リモート夢旅体験」は足立区教育委員会と国立情報学研究所(NII)が、日本航空の協力により実施。第九中学校の教室を飛行機の機内に見立て、バーチャルな旅を体験した。旅の案内役となるJALの服部機長と、各教室の大型テレビをZoomでつなぎリモートであいさつ。客室乗務員は3年生5クラスにリアルで1人ずつ入り、救命胴衣の装着方法を説明するなど搭乗案内を行い空の旅を演出した。
■日本の各地や世界の国々を調べる「夢の旅計画」がきっかけに
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により修学旅行が中止となった学校も多い。第九中学では総合的な学習として、異なる地域に住む人々の暮らしや伝統、文化などを調べて発表する「夢の旅計画」を昨年秋に行った。その発表を見たNIIの喜連川優所長が生徒の思いに感動し、調べた地域をバーチャルで訪問できればと日本航空に協力を持ちかけたことで、今回の「リモート夢旅体験」が実現した。
■搭乗案内に生徒が挑戦
機内に見立てた教室では、搭乗案内のビデオを流し、客室乗務員がシートベルトの着用法などを伝えた。その後は、生徒が搭乗案内を体験。渡されたメモをもとに案内を行い、英語での案内にも挑戦した。さらに、「国際線と国内線の、どちらに搭乗しているか」、「どうすれば機長や客室乗務員になれるのか」、「パイロットの資格は何が必要か」など生徒からの質問に機長や客室乗務員が回答していった。
■京都では上賀茂神社をオンラインで訪問
その後の「リモート夢旅体験」では、現地とZoomで接続し、JAL職員が案内役となり、観光スポットやグルメ、気候、文化の違いなどをクイズ形式で紹介していった。最初の目的地である京都では世界文化遺産にも登録されている上賀茂神社とZoomでつないで中継。「上賀茂神社で昔から行われていたものは何 ①競馬、②蹴鞠、③競技かるた」(正解は①)などのクイズが出題された。
■沖縄は嘉手納空軍基地を一望できる展望台から中継
次の訪問先である沖縄では嘉手納空軍基地を一望できる「道の駅かでな」の展望台から中継。沖縄の気温が東京より10度も高い24度と聞くと、教室からは驚きの声があがった。「嘉手納空軍基地には、どれぐらいの米軍関係者が住んでいるか」というクイズが出されたが、基地には27,000人もの米軍関係者が住んでおり、基地の中には幼稚園から大学まであり、銀行、スーパー、レストランなどが揃っている。
■台湾では豪華な料理やホテルを紹介
飛行機は沖縄から海外に飛び立ち台湾へ。台湾ではレストランから中継し、魯肉飯(ルーローハン)など豪勢な台湾料理が紹介された。また、佐藤栄作元首相も宿泊したホテル「圓山大飯店」とも中継で結んで紹介。赤色が多用されているホテルを見た生徒からは「赤色を使うのは台湾の特徴ですか」という質問が寄せられたが、現地のJAL職員によると「赤色を使うのは喜びと幸運と輝きを意味する」という。
■コロナ禍で訪れるのが困難となっている国々をバーチャルで訪問
その後、ロスアンジェルス、ロンドン、オーストラリア、タイなど、新型コロナウイルスの感染が心配される中、訪れることが困難となっている世界の国々をバーチャルで巡り、約3時間半に及ぶ「リモート夢旅体験」は終了。客室乗務員から日本到着を告げるアナウンスが告げられ、旅を案内してくれた機長と客室乗務員に生徒から拍手が送られた。