学習院大学は宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BDと人材を輩出するためのカリキュラムの共同開発に向けて協定書を締結。今後、両者により2023年度から全学共通科目「宇宙利用論」を開講するための準備が進められる。
■学習院大学とSpace BDの連携で「宇宙利用論」のカリキュラムを構築
大学がベンチャー企業と産学連携協定を通じ、宇宙利用に関する全学共通科目を実施するのは国内大学では初の試みとなる。「宇宙利用論」は2023年度開講となるが、2021年度から学習院大学とSpace BDによるカリキュラムの共同設計がスタート。2021年度と2022年度の2年間をかけて、全15回(予定)からなる「宇宙利用論」のカリキュラムを構築する。
■2021年度は3日間の「宇宙ベンチャー概論」を実施
カリキュラム開発の一環として、2021年12月にはオンラインとオフラインのハイブリッドで有志の学生による3日間の課外特別授業「宇宙ベンチャー概論」を実施。1日目はSpace BDの社員が講師となり、宇宙ベンチャーで活動する理由などを説明。2日目はSpace BDのエンジニアチームが宇宙で使われている様々な技術について説明。3日目は2日目で学んだ技術をもとに宇宙ビジネスをグループで考えるワークショップが行われた。
■宇宙ビジネスの実現に向けてプレゼンを実施
「宇宙ベンチャー概論」のワークショップでは、グループで考えたアイデアを発表する場としてビジネスプランプレゼンテーションを実施。Space BDの社員を相手に「そのアイデアは実現可能なのか」「実現するのに費用はどれぐらいかかるのか」など実際のプレゼンで体験するようなリアルなフィードバックが行われ、学生も緊張しながら発表に臨んだ。
■2023年度からの「宇宙利用論」の実施に向けて
2022年度も同様に「宇宙ベンチャー概論」を実施する予定。この「宇宙ベンチャー概論」で得た経験をもとに、全ての学部・学年の学生が選択できる科目として、2023年度からの「宇宙利用論」の内容を組み立てていく。また、宇宙ビジネスを牽引する人材を育成するため「海外研修プログラム」の開発もスタートする。
■宇宙資源の活用を考えることが学生の成長にもつながる
学習院大学理学部物理学科の渡邉匡人教授によると「宇宙資源の活用を考える中で、どのような問題が起きるのか、その問題解決に向けて何をすべきかを考えることは、学生の学びにとっても大きな意味を持ち、有意義なテーマとなることから、全学共通の科目として開講することを決めた」と語る。また、宇宙資源の活用を考えることは、環境問題をはじめ地球での生活の問題提起にもつながるという。
■夢をビジネスにつなげることで学習の動機づけに
同じく法学部法学科の小塚荘一郎教授は、産学連携を行う意味について「Space BDと連携することで、今の宇宙科学のリアルな動きを学生に提供できる。さらに、学習の動機づけについても、宇宙をビジネスにする人と接することで、学んだ先にあるものを感じてほしい」と語る。
<Space BD 事業開発 西真一郎氏 コメント>
Space BDは様々な宇宙に関わる取組をしているが、中でも教育に力を入れてきた。これまで小学校、中学校、高等学校に体験を提供してきたが、初めての大学生へのカリキュラム提供となる。大学での学びは職業選択とも密接に結びついており、学生には宇宙ビジネスで何ができるのかを伝えていきたい。