福岡県豊前市は、市立義務教育学校整備事業設計業務の受託者を、公募型プロポーザル方式で募集。応募を５月９日に締め切った。児童生徒数と学校の小規模化により教育活動が制限される中で、学校の再編成を進め、立地や地域の特性を生かした学校づくりを目指す。
義務教育学校として改修・増築を予定している豊前市立合岩小学校校舎
同市は現在、小学校10校、中学校４校があるが、児童生徒数の減少が顕著で、すべて小規模校となっている。中学校では、教科ごとの教員がそろわず、部活動にも制限されるケースも出てきている。また、校舎の老朽化による大規模な改修等、教育環境の整備が急務となっている。
そこで２０２１年10月に「豊前市立学校適正配置基本方針」を策定し、第１段階で整備する義務教育学校等の施設整備について検討を進め、23年３月には「行きたい、行かせたい」といわれる学校づくりを目標とした「豊前市立学校再編成基本計画（基本計画）」を策定し、学校施設の在り方や施設計画の方針・事業スケジュール等の基本的な考え方をまとめた。
同事業はこの基本計画に基づき、豊前市立合岩小学校校舎の改修、増築をし、義務教育学校を開校することを目的として、基本設計及び実施設計業務を行う。「自然体験と個を活かすここだけの学校づくり」として、小中の枠にとらわれない９年間を通した特色あるカリキュラムを構築し、個の特性に応じた教育活動を行う。特に芸術系活動に特化し、京築オンリーワンの特色ある学びでこの力と可能性を引き出す学校とする。自然に囲まれた穏やかな環境と地域との密接なつながりにより、豊かな人間性が育つ環境を整える。
同校の施設の敷地面積は１６．００５㎡で、校舎２６４４．９３㎡、屋内運動場８０８．４２㎡、特定天井改修プール８２．０１㎡。基本計画に示す考え方に沿った設計とし、木材及びその他製品等について、可能な限り地場産材の導入を検討する。
設備計画は、現校舎設備の調査を十分に行い、ライフサイクルコストを比較検討し、移設・新設・廃止等を決定する。また、「居ながら工事」となるため、施設利用者への振動・騒音・悪臭に配慮した設計とする。本業務を手戻りなく、また、迅速な方針決定のもと進めるため、業務着手後速やかに、校舎規模や概算事業費の増減に影響する項目と論点、選択肢を提示し、発注者と十分協議し、目的を明確にして業務を進める。
同事業の業務期間は、24年７月31日まで。プロポーザルへの応募は５月９日で締め切っており、参加する事業者は、単体事業者又は共同企業体（ＪＶ）よるものとし、ＪＶの中から代表事業者を定め、市への参加申込書の提出、質疑を行う。
参加申込は５月９日で締め切っており、第１次審査は、同事業設計業務委託公募型プロポーザル評価要領に基づき事務局が審査を行い、別に定める豊前市立義務教育学校整備事業設計業務委託事業者選定委員会に報告。技術提案書の提出を求める者を評価点上位から５者程度選定する。通知日は５月16日を予定。第２次審査候補者は、必要書類を５月30日までに提出。
技術提案を求めるテーマは、①基本計画の学校施設コンセプト、整備方針を踏まえた施設計画の提案（個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を実現できる学習、生活、執務環境）②義務教育学校の９年制を活かす校舎の増築・改修の考え方（小規模特認校の同校が９年間を通して特色ある学びで個の力と可能性を引き出すためのハード面からのアプローチ）③工事期間中の配慮についての提案（施設利用者の安全確保や負担軽減につながる工法や工事計画）――等が挙げられている。プレゼンテーションとヒアリングによる２次審査を行い、選定委員会で審査。審査結果は６月９日に公表される予定だ。
