11月10日、全国ICT教育首長協議会は「米国先進自治体とのSociety5.0時代の学習データとセキュリティの在り方」をテーマに勉強会を開催。米国ジョージア州教育省のキース・オズボーン博士はジョージア州における教育データ活用とサイバーセキュリティをテーマに講演した。ジョージア州の学校には全校にテクノロジーリーダーが所属し、学校の変革をけん引。州として様々な教育支援を提供している。共催は日本マイクロソフト。
■ジョージア州のICT環境・支援
ジョージア州では221学区約2500校に約80万人の子供が通っており、様々な規模の学校がある。また、教員は12万3000人以上。支援員は約17万5000人おり、教員をサポート。テクノロジーリーダーや管理、外国語支援など様々なスタッフがいる。
ネットワークの帯域幅は重要だ。生徒1人あたり0.5Mbpsとし1校あたり400Mbpを確保。予算は州、市、連邦基金で確保しており約520万ドル必要だ。さらに帯域が必要と考え、独自で強化している学校もある。州としてもさらに増強したいと考えている(編集部注・日本では1校1Mbpsが設置目標)。
子供用端末は2人につき3台使用可能な環境だ。
テクノロジーリーダーは全校に常駐。これは大きな成功を収めた仕組みだ。サイバーセキュリティやネットワークなど複数のスキルを持つ人材で、教員や学校にイノベーションを提供するため、全国的組織と連携して毎月オンラインでトレーニングを実施。サイバーセキュリティ計画やインシデント対応計画を策定している。テクノロジーリーダーについては専門スキルがのニーズが日々増しており、常に研修すると主に今後さらに増やしたいと考えている。
■サイバー対策は全員の責任
コロナ禍は、学校のICT環境が進化するきっかけになった。リモート学習でも単位を与え、教室にいなくても同じテストを受けて評価を受けることができるようになった。
このようにオンラインやクラウド活用が進むと、セキュリティという課題が生まれる。学校へのサイバー攻撃懸念に対応しなければならない。
サイバーセキュリティは、社会的な問題であり、全員が責任を負うべきものである。教職員やテクノロジーリーダー、保護者と連携して進める必要がある。インシデント対応の手順の演習やテストを行うなど様々な対策を行っている。また、小学生から高校生までセキュリティについて学んでいる。
一般的な人にも理解できるような言葉で伝えることも重要だ。
また、各学区を一定の測定基準で評価し、セキュリティリスクやセキュリティパフォーマンス評価を行っている。
州独自で、アプリの評価基準(ルーブリック)も設定。セキュリティやデータ、広告基準などについて期待を満たしているか否かを評価している。
■データ活用で学校に良い変化を起こす
区と学校は、州教育省と連携してデータダッシュボードを設置している。学校に良い変化を起こすための必要なツールと情報を提供するもので、AIツールなど日々更新している。
子供たちの健康に関するデータ、意思決定者が教育者を強化するために役立つデータ、テクノロジー環境等のデータ、コンピュータサイエンス教育に関する追跡データなど様々なデータダッシュボードがある。かつて卒業率は65%であったが現在は85%に向上した。これには、不登校傾向が表れ始めている子供を迅速に発見するというテクノロジーが貢献している。
■教育支援環境
5万3000人のアクティブな参加者が所属する115のコミュニティ、専門教育イベントやニュースレター、ガイダンスやポリシーを提供している教育プラットフォームも提供。
学習管理システムでは102コースを公開しており、さらに90コースを開発。約14万人のユーザが参加しており、デジタル資格情報なども提供している。
いつでもどこでも学べる環境として、無料コンテンツや公立学校向け無料オンライン個別指導、公立・私立の生徒が自分のペースで進められる補習、仮想スクールの補足、教員向けコンテンツなども提供している。