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教育ICT

【第100回】ICTキャンパス 東京大学「参加者の主体性引き出す新しい意見集約ツール」

2022年8月2日
連載

教員と学生が共同で開発

LearnWiz Oneの画面

LearnWiz Oneの画面

東京大学の吉田塁准教授(工学系研究科)2021年、文学部3年生だった中條麟太郎氏とともに、参加者の積極的な意見交換を促すオンラインツール「LearnWiz One」を開発した。授業でのオンラインツール活用では、双方向的な授業のやり方がよく分からなかったり、実際やってみると、グループワークの盛り上がりに欠けたりすることが少なくない。また、参加者からの意見や感想が多過ぎた場合、意見などをまとめきれないといった問題も発生する。そこでLearnWiz Oneでは、アクティブラーニングと集合知の知見に基づき、参加者の人数に関わらず、講師と参加者、参加者同士のインタラクションが容易に実現できるようにした。

独自アルゴリズムで意見を集約・共有

本ツールは、独自開発したアルゴリズムにより、すべての投稿が参加者の誰かには見てもらえる仕組みとしている。個々の投稿に対しては「いいね」やコメントを付けることができ、これらの情報をもとに算出した人気順でも確認できる。

参加者はすべての投稿を見ることなく、参加者全員の投稿が等しく確認、評価されるため、自分以外の参考意見が確実に浮かび上がってくる。

「他者の多様な意見に触れながら意見交換でき、しかもほかの人の参考意見も、スムーズに全体共有できるという機能により参加者の主体性を引き出しながら、効果的な意見交換を促すことが可能です」(吉田准教授)

同様のオンラインツールには、MicrosoftTeamsGoogle Workspaceがある。これらのツールで意見を集約しようとすると、すべての意見に目を通す必要があり、人数が多い場合、意見が多くなりすぎて把握が困難になり、適切な集約が難しくなるという。

その点、LearnWiz Oneは効果的かつ効率的な意見の共有・集約ができる点が類似ツールとの大きな違いだ。

大学をはじめ中学・高校でも活用

LearnWiz Oneは大学をはじめ、高校、中学校などの授業で利用されている。

私立大学工学部では、小レポート課題をLearnWiz One上で提出。小レポートを学生は相互評価したうえで、人気順にレポートを共有。教員はコメントする。

中学校国語での対面・オンラインのハイブリッド授業では、教員の「この時の主人公の気持ちを考えましょう」などの問いにLearnWiz One上で回答を提出させる。それを生徒同士で確認し、その後もう一度同じ問いかけをすると、一回目よりも多様な回答が得られたという。

多言語化を進めて海外展開も視野に

LearnWiz Oneはすでに、教育現場や企業などでのべ3万人以上に利用されている。今後はさらなる利用者の拡大に力を入れる。

現在は日本語と英語に対応しているが、今後は多言語対応を進め、海外への展開も積極的に行っていく考えだ。

「社会に出た後も学び直しができる場としての大学が、さらに求められています。その際に要になるのは、オンラインにおける学習環境です。しかし、オンラインの学習は十分に設計しないと、一方向的になりやすいのが課題です。LearnWiz Oneを活用することで、学習者同士や学習者と教員とのインタラクションを生むことができるようになります」(吉田准教授)

本ツールは223月までは吉田准教授と中條氏が運用してきたが、4月以降は、中條氏が新たに立ち上げた株式会社LearnWizによって運用されている。

(蓬田修一)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年8月1日号掲載

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