文部科学省は6月30日、第10回デジタル学習基盤特別委員会(委員長=堀田龍也東京学芸大学副学長)を開催。学校におけるAI活用の現状等、地方自治体法施行規則改正等に伴う教育情報セキュリティポリシーの改訂等、次世代校務DX環境整備の現状等及び今後の計画と方向性について確認した。本委員会はデジタル学習基盤に関係する文科省全体会議を把握・調整する役割をもつもので、開催は4か月ぶり。
次期学習指導要領の理念を踏まえ、学校現場で「安全かつ主体的にAIを活用できる学習環境の構築」に向けて「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)の改訂を進める。
現状の課題を次のように整理。
▼ルールが明確ではないことやリスクの懸念から適切な利活用が広がらない
▼汎用AIで学習や教員の専門性を支えられない
▼偽誤情報や児童生徒に有害な出力や、児童生徒の発達段階を踏まえていない難しすぎる情報や大量の情報出力を防ぐためのデータが不足している
▼校務系の重要性の高いデータに関するAI活用の懸念
これらを解決するため、ガイドライン(ver2.1)の改訂とともに次の事業も進める。
〇研修、教育分野に特化したAIの実証研究
〇有害な出力をさせないようにするためのリスク評価データ等の整備
〇学校現場で安全にAIを使えるインフラ整備など
教育分野に特化したAIをどのように準備するのか、学校現場で安全にAIを使えるインフラとは何を指すのか。
注目されるところだ。
実証研究やインフラ整備等については次年度予算もしくは今年度補正予算に措置されることになるだろう。

教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(以下「ガイドライン」)、教育情報セキュリティポリシーハンドブック(以下「ハンドブック」)も改訂する。
今回の改訂では次の内容を想定している。
〇総務省令施行に向けた対応方針及び総務省ガイドラインとの整合性等の調整
〇これまで表記されていなかったBYODや生成AI活用時のセキュリティ対策の充実
〇情報利活用を見据えた重要性分類の再検討
次世代校務DX環境とは、外部システムからのデータ連携における接続ポイントを共通で利用できる、マルチテナント構成のクラウド型校務支援システムの整備をいう。児童生徒の成績情報等の重要性の高い情報をクラウド上で扱うため、 情報ごとに真に必要な者だけがアクセスできる仕組みが不可欠だ。

「ゼロトラスト対策」と「ロケーションフリー・データ連携」は一体不可分であり、都道府県教育委員会の主導の下で、関連システムを共同調達・共同利用しながら整備・運用することが求められている。
文部科学省ではすべての都道府県教育委員会との打合せ等を実施し、現在どのステイタスにいるかを可視化した(図参照)。

文部科学省ではすべての都道府県教育委員会との打合せ等を実施し、現在どのステイタスにいるかを可視化
文科省資料によると共同調達・共同利用における調達主体 及び契約形態を、次の3つに大別している。
① 都道府県が調達し、都道府県が事業者と契約する方法
② 都道府県が調達し、各市区町村と事業者が契約する方法
③ 協議会(任意団体)が調達し、各市区町村と事業者が契約する方法
共同調達を円滑に進めるため、補正予算事業で「次世代型校務支援システムの仕様書の作成や調達プロセス等について、 教育委員会が常時相談できる相談窓口の設置」「次世代型校務支援システムの調達時において、教育委員会と一緒に 仕様書を作成するなど、技術的な知見を有した専門人材の派遣」を行っているところだ。
相談窓口は2027年3月5日(金)まで設置。次の相談が可能だ。
〇次世代校務DX環境の整備等に関する問い合わせ、
〇専門人材派遣の申請
専門人材派遣時の支援メニューも作成した(表参照)。
