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2つの常設展示で研究開発の最前線を体感~「量子コンピュータ・ディスコ」「未読の宇宙」一般公開開始~日本科学未来館

2025年5月1日

東京・江東区の日本科学未来館(館長:浅川智恵子)は未来にむけた壮大な研究開発の最前線を楽しみながら体感できる展示として2つの常設展示「量子コンピュータ・ディスコ」と「未読の宇宙」を2025年4月23日(水)から一般に向けて公開を開始した。

写真左:「量子コンピュータ・ディスコ」の展示、写真右:「未読の宇宙」の展示

■量子コンピュータのしくみを体験できる「量子コンピュータ・ディスコ」

3Fの常設展示「量子コンピュータ・ディスコ」は直観的に楽しみながら量子コンピュータを理解していく展示。音楽を選んでフロアに流すなどDJ がプレイする時のような操作で量子力学を体験するなど、量子コンピュータのしくみを楽しみながら体験できる。量子コンピュータの成り立ちや研究の歴史、最新の開発なども基礎からわかりやすく紹介。また、最新の研究開発の成果として、超伝導量子コンピュータに用いられる144量子ビットの集積回路チップを国内で初めて一般公開する。

「量子コンピュータ・ディスコ」の外観


ゾーン1「エントランス」

「量子コンピュータのうた」に迎えられながら、「重ね合わせ」や「もつれ」など量子コンピュータのキーワードがちりばめられたラップが量子の不思議な世界にいざなう。


ゾーン2「ダンスフロア」

「ダンスフロア」の展示ではゲートを操作して「重ね合わせ」「位相」「もつれ」「測定」という量子の性質を用いた計算方法をDJ が音楽を聴き比べて選びフロアに流すという一連の流れを通して理解することができる。ひとつずつ選択肢を計算する今のコンピュータとは全く異なる量子コンピュータの「重ね合わせ」の計算パワーを感じることができる。


ゾーン3「ギャラリー」

「ギャラリー」では「量子コンピュータってつまり何?」「なぜ作るの?」など量子コンピュータを理解するための基本を4本のショートムービーで解説。また、SFや映画、音楽、ゲームなど多岐にわたる作品から量子力学や量子コンピュータの特性を感じられる場面を紹介。さまざまな作品の中に隠れている「もつれ」や「観測」などの“量子コンピュータっぽさ”の表現から量子の不思議な世界を身近に感じることができる。


ゾーン4「ラウンジ」

「ラウンジ」では3つの展示で量子コンピュータの基礎から使用例までわかりやすく紹介。①「量子コンピュータのつくり方」では量子コンピュータを実現するための技術開発を3つのステップで紹介。②「量子コンピュータを生んだ、計算と物理の再会ものがたり」では量子コンピュータが誕生してから開発競争にいたるまで、各時代を代表する3つのコンピュータと現在開発が進む超伝導量子コンピュータをレゴ®ブロックを使った模型で再現する。理化学研究所量子コンピュータ研究センターの協力のもと日本製の「144量子ビットのチップ」が国内で初めて一般に公開される。③「量子コンピュータにコレできる?ガチャ」では一般の人から寄せられた量子コンピュータに関する100を超える質問に専門家が回答。素朴な疑問から応用まで量子コンピュータと私たちの未来を考えるきっかけを見つけることができる。

国内初公開の量子ビットチップ


<総合監修者 藤井啓祐氏 コメント>

量子コンピュータは実現に向けて世界中で研究開発が行われており、そのスピードは目覚ましいものがあります。この展示を体験した多くの方にとって、量子コンピュータがもたらす未来を想像し、どんな可能性があるかを語り合い、自分なりに量子コンピュータとの関わりを考える場になることを願っています。

 

4つの先端研究に体験装置を通して触れる「未読の宇宙」

5Fの常設展示「未読の宇宙」は巨大な観測・実験装置を駆使して、研究者たちがどのように宇宙を読み解こうとしているのかを体感できる展示。実際の観測・実験データをもとに制作された大迫力の映像がとり囲む展示空間の中で、さまざまな波長の光で宇宙をとらえる多波長観測、ニュートリノ観測、重力波の観測、加速器実験という、宇宙をとらえる4つの先端研究に体験装置を通して触れることができる。

「未読の宇宙」内部の様子

■観測のデータをもとにアーティストが作品化

展示空間を360とり囲むスクリーンには、各メッセンジャーの実際の観測・実験データをもとに制作した映像が映し出される。第一線で活躍するメディアアーティストが膨大な観測データと向き合い、研究という営みを再解釈して作品化。複数のデータを組み合わせて複合的に宇宙を理解する「マルチメッセンジャー天文学」についても歴史的な観測プロセスを映像化。その意義を直感的に理解することができる。

 

■観測・実験にアプローチしたインタラクティブな体験型の展示

「未読の宇宙」では宇宙を理解するために行われる4つの観測・実験のアプローチを実際の観測や実験のしくみをもとにしたインタラクティブな体験型の展示で紹介。展示の監修を務める第一線の研究者がスマートフォンのビデオ通話風の映像として登場。映像と連動しながら展示を操作することで、本物の研究者と一緒に宇宙の観測や実験をしているかのような体験が楽しめる。


①宇宙をみる「多波長観測」

宇宙からは可視光や電波、X線などのさまざまな種類の光(電磁波)が届いている。同じ天体でも異なる種類の光で観測し、比較することで天体の様子をくわしく調べることができる。「多波長観測」の展示ではオリオン星雲やかに星雲などの天体が赤外線やX線での観測によって異なる姿を現す様子を地上や宇宙の望遠鏡が観測した実際のデータを見比べることで確認することができる。

「多波長観測」の体験装置


②宇宙をきく「重力波観測」

重力波は大きな質量の天体が動いたときに発生する目には見えない時空の歪み。重力波はアインシュタインが観測不可能と予測していたが、2015年に世界15か国の研究者が参加した研究プロジェクトが初観測に成功した。今回の展示では大規模観測装置のしくみをそのまま1mサイズにミニチュア化した本物のレーザー干渉計を設置。レーザー光を重ね合わせて生まれる「干渉縞」が微弱なシグナル(振動)をとらえる現象について直接観察することで理解が深められる。


③宇宙をつかまえる「ニュートリノ観測」

ニュートリノの性質を調べることで地球に降り注ぐ宇宙線などの謎を探る手がかりになると注目されている。今回の展示では日本の「スーパーカミオカンデ」と南極の氷の下に建設された「アイスキューブ」の2つの観測装置を縮小模型で紹介。また、現在建設中の「ハイパーカミオカンデ」に設置される予定の最新の光電子増倍管の実物も展示されている。


④宇宙をつくる「加速器実験」

人工的に宇宙初期の高エネルギー状態を再現して、そこで何が起こるかを突きとめる加速器実験を紹介。円形の加速器を縮小した模型を使って、電子や陽電子などの粒子を加速して衝突させる実験を擬似体験できる。また、世界28の国と地域が参加する日本最大級の素粒子実験プロジェクト(Belle Ⅱ実験)に使われている衝突によって生まれた粒子を検出するためのセンサーの実物も展示されている。

 

■疑問や感想を生成AIが生んだキャラクターと語り合う

展示を通して浮かんだ疑問や感想を生成AIと自由に語り合うことができる対話型展示。生成AIとの協働で誕生したバラエティに富んだ7つのキャラクターが登場。知識豊富な「科学者」、率直なリアクションを返す「子供」、人生経験豊富で話題を広げるキャラクターなどからランダムに3つが選ばれ、AIキャラクターと自然で広がりのある会話が楽しめる。


<総合監修者 梶田隆章氏 コメント>

2002年に公開された前身の展示ではニュートリノを観測するスーパーカミオカンデを紹介した。それから四半世紀が過ぎ、次世代の装置に引き継がれようとしている。この間、光学望遠鏡をはじめ多波長の観測と連携することで多角的に宇宙をとらえるマルチメッセンジャー天文学の土台ができた。今回、さまざまな人が訪れる日本科学未来館で、こうした科学の今を伝える展示を多くの人たちと協力しながらつくることができたことは私にとっても大変有意義な経験でした。ぜひ、多くの皆さまに見ていただきたいと思います。


<公開情報>

一般公開日:2025423()

展示エリア:3階・5階 常設展示ゾーン

休館日:火曜日(ただし、祝日や春夏冬休み期間などは開館の場合あり)、

年末年始(12/281/1

開館時間:10時~17時(入館券の購入および受付は1630分まで)

入館料:大人630円、18歳以下210円、未就学児無料

問い合わせ:03-3570-9151

 

日本科学未来館

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